巣鴨を歩く 番外「妙行寺と善養寺」
~お岩様のお寺と巣鴨の閻魔~
巣鴨=おばぁちゃんの原宿=歩きの延長で、荒川線「新庚申塚駅」のちょっと先にある2つの古刹を参拝しました。長徳山妙行寺と薬王山善養寺です。
お岩様のお墓があることと、江戸三閻魔の一つがあることでそれぞれ著名。
番外として投稿します。
<荒川線新庚申塚駅周辺マップ>
■長徳山妙行寺(みょうぎょうじ) =法華宗陣門流=
●創建:慶長9年(1604)、日善が江戸・麹町清水谷に創建。
寛永元年(1624)に四谷鮫河橋南町へ移転し、明治期の市区改正を経て明治42年(1909)に現在の豊島区西巣鴨へ移りました。 妙行寺には「お岩様の墓」をはじめ、「忠臣蔵・浅野内匠頭夫人・瑶泉院」の供養塔や浅野内匠頭の祖母「高光院」、弟大学長広夫人「蓮光院」のお墓などがあります。
<妙行寺山門>
※四谷鮫河橋(さめがばし):名前の由来ですが、江戸名所図会曰く『むかし、この地は、海につづいていたので、鮫があがりしゆえ名とす、といえども、証拠はない』とのことです。
<お岩様の寺 妙行寺の石柱>
門を入った右側に「四谷怪談 お岩様の寺」の石碑があります。
俗に、お岩さんといえば「四谷怪談」…ですよね。
<境内図>
まずは浄行様、わたしはちょっとたわしでこすります。
<浄行様・・・・水かけ菩薩>
<魚河岸供養塔>
<供養塔とウナギ供養塔>
<供養塔(納骨堂)内の釈迦牟尼仏>
その先に「四谷怪談お岩様の墓(?)」と書かれた石柱。
明治42年、四谷鮫ケ橋より移転。 北へ二丁(約200M)と書かれているので、移転時?に立てられたお墓への案内のための石柱のようです。
その先に日蓮聖人像
●本堂と日蓮聖人
<本堂内陣>
隣の間にお岩様が神格化されて祀られています。
お岩尊霊とあります。
厨子の中に小さな「お岩様像」が祀られています。
可愛いお岩様像で、柔和な笑顔。 右手には剣を持っています。
ご関心があれば次のYouTubeをご覧ください。講談師の神田伯山さんのYoutubeです。
妙行寺を一回り、於岩像をご覧になれます。ちょっと字幕に難点がありますが…。
お岩尊像は通常は命日である2月22日のみご開帳とのこと。
<お岩尊霊>
お岩様のお墓へ…鳥居を潜って左へ行く。 途中に浅野家の墓所があります。
鳥居を潜ったところにご由緒書きがあります。
このご由緒書きではお岩さんと伊右衛門さんは折り合いが悪く、お岩さんも病身であまり幸せではなかったように書かれていますが、まぁ諸説あるということで。
於岩稲荷田宮神社が四谷と霊厳島(中央区新川)にありますが、その説明によれば、お岩さんは美人で働き者、良妻賢母だったということです。人がうらやむほど夫婦仲は良かったとのこと。
しかし…江戸初期の一夫人の没年月日が、寛永13年2月22日とまで分かっているというのはすごいですね。
<ご由緒>
<浅野家の墓>
<お岩様の墓…沢山の塔婆が立てられている>
歌舞伎関係の方の塔婆も並んでいます。坂東玉三郎さんの塔婆もありました。
妙行寺は以前四谷鮫河橋近くにあり、田宮家の菩提寺でした。
お岩様の墓の周りには「田宮家」ゆかりの墓がいくつかあり、手前に「十代田宮保松・田宮家の墓」というお墓がありました。
第十代田宮保松は、四谷左門町の「於岩稲荷田宮神社」の宮司家に連なる人物として紹介される人物です。この田宮家は、四谷怪談で知られる「田宮又左衛門・お岩」伝承の家系を、自ら先祖と位置づけてきた家ということです。於岩さまの直系かどうかはわかりませんが、「お岩様にゆかりの家」とされているようです。
「田宮保松さんが亡くなったのでこの墓を建てた」ということが墓石の横面に彫られていました。
<田宮家の墓>
お岩さんを祀るゆかりのお寺と神社は他にもあります。
① 四谷 於岩稲荷田宮神社
② 四谷 於岩稲荷陽運寺(日蓮宗)
③ 中央区新川 於岩稲荷田宮神社
お岩様について:
時は江戸時代初期、お岩さんは田宮家の娘、田宮家は貧乏旗本家で台所はいつも火の車、お岩さんは家計を助けるため奉公にでて働きました。
田宮家屋敷には稲荷があり、お岩さんの働きと屋敷神への深い信仰のおかげで貯えも増え、田宮家はかつての盛んな時代に戻ることができたといいます。
田宮家屋敷神への信仰で田宮家が復活できたという話はたちまち評判になり、近隣の人々はこの屋敷神を「お岩稲荷」と呼んで信仰するようになりました。これが四谷「於岩稲荷田宮神社」の始まりです。
それから200年後、突如怪談話に。
四世鶴屋南北が、幸せだったお岩さんを、こともあろうに怨霊に仕立てて怪談話を創作。
これが歌舞伎でも上演され大当たり。 役者や興行主はこぞって「於岩稲荷」に参拝するようになりました。 すっかりお岩さんは怨霊にされてしまった。
明治12年、四谷で火事が起こり社殿が焼失、これを機に田宮家が移転していた隅田川の畔、芝居小屋にも近い新川に「於岩稲荷田宮神社」が再建されました。
また、日蓮宗の日建上人が四谷の田宮家の跡地にお岩様を祀る日蓮宗「陽運寺」を創建、またその後、氏子の人々の願いもあって、もともとの四谷に於岩稲荷田宮神社が再建された…ということです。
四谷の「於岩稲荷田宮神社」の地は昭和6年東京都史跡に指定されたということです。
(以上は四谷於岩稲荷田宮神社の宮司さんの解説・一部追記)
<ご参考:四谷於岩稲荷田宮神社付辺地図>
※巣鴨妙行寺跡地:巣鴨の妙行寺の移転前の場所です。この付近が鮫河橋南町
<江戸切絵図>
於岩稲荷はほぼ元あった一角に再建されたようです。
<於岩稲荷陽運寺>
<四谷於岩稲荷田宮神社>
この写真は大分前のものですが、道にちょっと迷って夜になってしまって、於岩さんは美人で優しかった人と信じつつもなんとなく心細かったのを覚えています。
<新川於岩稲荷田宮神社>
■薬王山善養寺 =天台宗=
創建:天長年間(824年~834年)慈覚大師円仁によって開山されたと伝わる古刹です。
<善養寺山門>
江戸時代は、今の上野駅~鶯谷間の山手線等の線路上に位置していました。下谷坂本町というところで、明治時代には「下谷善養寺町」という地名になるほどだったといいます。(Wikipedia)
鉄道建設のため明治45年(1912)、現在地に移転しました。
ご本尊は薬師如来ですが、本堂には閻魔大王が中央にドンと鎮座しています。かつて太宗寺や杉並・華徳院とともに「江戸三閻魔」として知られ、縁日には多くの人で賑わったといいます。
<上野にあった善養寺、同じく巣鴨に移転した高岩寺も地図に見えます>
<本堂>
<本堂内陣 正面に閻魔大王>
この立派な閻魔様がいつ制作されたのか、はっきりとは判明しませんが、AIによれば、“結論からいうと「今の閻魔像が江戸時代の像そのものかどうか」をはっきり断定できる公開情報はありませんが、「基本的には江戸期以来の像を伝えている」と見てよさそうです”とのことです。
巣鴨地蔵通り商店街振興組合の「巣鴨周辺マップ資料」にも、本堂には江戸三大閻魔の一つ、高さ約3mの木造閻魔座像が鎮座しています」と書かれています。
●尾形乾山(おがたけんざん)の墓
境内には尾形光琳の弟で陶工・絵師として名高い「尾形乾山(けんざん)」の墓があります。
尾形乾山は寛永寺貫主となった公寛法親王のつてで江戸に赴いて製陶を続けました。
<本堂の横を抜けて墓所へ>
<善養寺六地蔵>
<尾形乾山の墓>
●妙行寺でちょっと興味深いこと
田宮家菩提寺であった法華宗陣門流「長徳山妙行寺」は明治42年巣鴨に移転しました。
現在、四谷於岩稲荷の近くに「妙行寺(日蓮宗)」というお寺が今も存在しています。
この妙行寺は同じ名前だがなにか? こちらは稲荷山妙行寺。古地図にも載っており、江戸時代この辺りは、四谷鮫河橋谷町というところ、ちょっと不思議に思って調べました。
◈現在四谷に存在する稲荷山妙行寺(日蓮宗)は、廃寺となっていた寺院が慶長初期に麹町清水谷に中興再建され、寛永初期に四谷鮫河橋谷町(現在地)に移転してきた妙行寺。
◈一方の巣鴨長徳山妙行寺(法華宗陣門流)は、同じく慶長初期に麹町清水谷に創建され、寛永初期に近隣の四谷鮫河橋南町に移転したとされています。(そして更に明治42年巣鴨に移転)
ともに日蓮聖人系の、法華経を信仰する宗派であり、創建・移転の時期、場所があまりにも符合することから、ここからは全く勝手な推測ですが…、
慶長初期に麹町清水谷に寺院が造られ(再建)、寛永初期に、稲荷山妙行寺は鮫河橋谷町に、長徳山妙行寺は鮫河橋南町に移転、2つの寺院がそれぞれ存在することになったのではないかと思います。江戸切絵図にもはっきり2つの妙行寺の存在が記されていますね。
於岩稲荷はというと、これも江戸切絵図に、はっきり記されています。
明治12年焼失後、昭和27年、もともとの跡地の一角に再建されたことになっています。
(完)
ありがとうございました。









































































































































































































































































































































































































































































































































