この世に生を受けて、半世紀以上が過ぎました。
改めて、自身が生業としている「日韓バイリンガル司会」とやらを整理してみたくなりました。
「バイリンガル司会」と聞くと、日本の方なら、まず「国際結婚」の事だと思うでしょう。
しかし、実際、日本においては、「日韓バイリンガル司会」と言ってもカップルとゲストの組合せは様々。
・日本人と韓国人
・日本人と中国朝鮮族
・日本人同士だけど、親戚に韓国人がいる
・日本人と韓国人だけど、ゲストの大半が西洋人
・在日コリアンと在日コリアンだけど、
*総連系と総連系
*総連系と民団系
*総連系と韓国人
*民団系と韓国人
*どちらにも属さない
・新郎新婦もゲストも全員日本人だけど、両家母が韓流ファン
組合せによって、会場の雰囲気は大分異なります。
次に、言語について。
・新郎新婦が二カ国を話せる
・どちらか一人が二カ国を話せる
・新郎新婦は、一方の言語のみ話せる
・ゲスト全員が二カ国を聞き取れる
・ゲスト全員が日本語のみ
・ゲストの半分は日本語のみ、または韓国語のみ
・ゲストの内、3人ほどが韓国語のみ
聞き取れる言語の割合によって、司会者の「バイリンガル率」が変わります。
今日は、そこを自分なりに交通整理しようと思います。
殆どの場合、打合せの段階では、「しっかりと二カ国で司会してくださいね!」と、言われます。
しかし実際に全てを二カ国で話してしまうと、単純計算しても、必ず時間超過してしまいます。
そこで私の場合は、「新郎新婦、入場です。」や、「お祝いのお言葉を頂戴致します。」など、次に何が行われるかだけは、欠かさず二カ国にしようと心がけて来ました。
そして、スビーチやプロフィール紹介などは、ご希望に応じて適宜対応して来ました。
そうする事により、国際結婚では、ゲストの「おいてけぼり」を回避できますし、二カ国語を聞き取れる在日同胞同士の場合には、民族色を出せると思っていたからです。
ところが、多くの場合、いざ本番となると、後半になるに連れ新郎新婦から「日本語だけで良いです。」
と言われてしまうんです。
…それは、何故だろうか…
・想像より二カ国語は重く感じる。
・開催地が日本であるから
・大半が日本語ネイティブだから
(お酒の席で長い話は聞きたくないから)
・韓国人でも見ていれば大体分かるから
それは、そうなのですが、「日本語だけで良いです。」の通りにしていては、行く行くは「バイリンガルを謳っている金順愛でなくても良い。」事になってしまいます。
…私のウリマル(韓国語・朝鮮語)が聞き取りにくいのか…
…場に合った言葉をチョイスできていないのか…
…声が届いていないのか…
どうしたものかと思い悩んでいたところ、
直近の6月末の国際結婚式と披露宴で、初めての経験をしました。
国際結婚でのいつものやり方「日本語メインで韓国語は補足的」な司会で始まりました。
順調に進み、新婦お色直し退場で会場大喝采の中、新婦が私の横を笑顔で通りながらこう言いました。
「日本語の後、韓国語を拍手に被せるのではなく、きっちりと聞こえるように韓国語で司会をしてください。わざわざ遠くから来てくれた韓国のゲストにもハッキリ伝わるようにしてください。」
…そうか、そうだよね。それが本来のバイリンガル司会の姿だよね。
私は気にし過ぎていたのかも。
一方の言語を話している時、聞き取れないゲストを待たせてしまっているって。
でも、それは国際結婚なんだから、ゲストは承知の上なのよね、きっと。
まずは、二カ国でちゃんと伝える事。
それが一番大事なのよね。…
だけど、時間の制約もあるしどうすれば良いか…
・二カ国語を自由に操れるようにする
・瞬時に二言語を往き来できる瞬発力の習得
・新郎新婦、親御様の思い描くスタイルを、事前によりハッキリと引き出す
・二言語ハーフハーフでも重くならないようにする
・日本語メインでも、ウリマルをバランス良く取り入れ、違和感が無いようにする。
・バイリンガルである事が、聴き手の邪魔になってはいけない。
・会を司る言葉は、二言語であってもスムーズでなくてはならない。
・結婚式、披露宴を一つの作品にしなくてはならない。
あ〜 悩める司会者のひとり言でした。