多くの犬猫の命を守る本当の目的は、殺処分ゼロだけではない。
ということをどれほどの人が理解してるだろう。
『殺処分ゼロ』という言葉はいろんなシーンで挙げられるようになってきていますが、
本当にそれだけが正しいことなのか・・・
以前ブログに書いたように、
『管理事務所で殺処分する数をゼロにする』
というのは、うわべの問題なのです。
以前のブログは
殺処分ゼロって一体？譲渡率に執着する理由は？
将来的にはゼロであるべきだと思いますが、
無理やりそのことだけを守ろうとしても、
どこかにしわ寄せがきてしまうものです。
実際、前書いた記事のように、
動物管理事務所に収容される数は増え、常に許容量MAXの状態であるケースが多いのです。
それを解消すべく、保護団体の方や保護活動をしている方が参入するも、
今度はその団体やその人たちの許容量がMAXになってしまうケースも多いのです。
その中でも、新しいお家にもらわれていくケースもあるわけですが、
もらわれて空きができた！と思ったら、新たに引き取る
という流れで、なかなか終わりが見えない・・・
これらの活動とともにしなければならないこと・・・
それはやっぱり増えていく命にストップをかけることだと思うのです。
そのために、『避妊去勢手術』は大事だと思っています。
これは、「自然に反する」という意見もありますが、本当にそうなのでしょうか・・・
「『避妊去勢手術』をすることがかわいそう」
という飼い主さんがいらっしゃいますが、
発情でニャーニャー鳴いたり、落ち着かなかったり食欲が落ちたりすることのほうが
ストレスであり、かわいそうだと思うのです。
「避妊去勢手術することは自然ではないのだから、絶対体に良くない」
という飼い主さんがいらっしゃいますが、
私たち人とともに暮らすという形自体が本来の姿と異なる状況でもあるし、
共存するために必要なことなのでは？と思うのです。
確かに手術をすることでデメリットもありますが、
デメリット以上にメリットのほうが多くあるのも事実。
先ほどの発情のストレスや苛立ちからは解放されるし、
メス猫に関しては乳腺腫瘍になる確率を下げたり、子宮蓄膿症などの婦人系の病気の予防にもつながります。
オス猫に時に命に関わる問題を起こす『尿石症』も、
去勢手術をすることで、おしっこの濃度が薄くなるため、なりにくくなります。
避妊去勢手術をしていない猫を外に出しているお家もあります。
「自分が飼っている猫はオス猫だから、子供は産まないから大丈夫」
という人がいますが、
その子が野良猫を妊娠させ、増えさせているかもしれないのです。
「産まれたら川に流すから」
という人もいますが、
動物愛護法に反しますし、
命を産むためにどれほどのエネルギーが必要か
命の重み
を改めて考えてほしいのです。
自分の飼っている猫が命を増やしている
保護しなければならない子を増やしている
殺処分ゼロへの道のりを遠くしている
ということを考え直してほしいのです。
そして、もう一つ・・・
多頭崩壊の問題。
「うちは外に出さないから大丈夫」
と言って避妊去勢手術をしないままで、
新たに猫を保護してしまったパターン。
その組み合わせがオスメスであったら・・・
あっという間に『多頭崩壊』へと進展していくのです。
「こんなふうになると思ってなかった・・・」
「こんなにすぐに増えるなんて・・・」
という言葉をよく聞きますが、
本当にあっという間に『多頭崩壊』になってしまうのです。
自然界で生きていくためには必要な子孫繁栄であったとしても、
私たちとともに生活していく中では、必ずしも必要なこととは言い切れないのです。
だからこそ人と共存するためには、『避妊去勢手術』は必要だと思うのです。
増え続けてしまって『多頭崩壊』の状態になったときに、
避妊去勢手術をしようと思っても、
費用のことからなかなか前に進まない。
増え続けてしまったこの数を養うために、ご飯代がどんどん増えていく・・・
ますます手術代を捻出できずに手付かずになってしまう。
そんな中で、さらに出産が続き、増えていく・・・
そうなる前に、
そうならないために、
最初の１頭から『避妊去勢手術』をしてあげてほしいのです。
ブログをお休みしていた間、
避妊去勢手術に関して、自分で言うのもなんですが私はひと回りもふた回りも成長しました。
ときにカルチャーショックを受けるほどの勉強や出会いもありました。
もちろん多くの人に助けられたおかげでです。
ご縁を作ってくださった方々に感謝しています。
たくさんの人に支えられ、成長を遂げた今、
改めて今まで以上に『避妊去勢手術』に対してもっと取り組もうと思っています。
なるべく負担を減らすべく
手術の傷口は今まで以上に小さく
手術にかかる時間も今まで以上に短く
日々努力しています。
手術の件数分だけ
出会った猫たちの分だけ
どんどん身につくのだと思っていますし、
この機会を増やしてくださっている保護団体の方、保護活動をしている方に感謝しています。
先日、
「先生のところに野良猫を連れてきた分だけ先生を苦しめていると思うと、申し訳なくて・・・」
とある保護団体の方から言われたのですが、
その方の言葉に対しての私の答えは
『そんなことない！！！』
私を苦しめるというより、むしろ私の喜びだったり生きがいだったりするのです。
助成金を使ってきてくださったとしても
もしもボランティア活動できてくださったとしても
自費できてくださったとしても
とにかく一人でも多くの子たちに『避妊去勢手術』をしてあげる
ということに意味があるんです。
私の気持ちは一つ・・・
どんな手段だったとしても（助成あるなしに関わらず）
うちにきてくれて手術を受けてくれて一代限りで余生を全うしてもらえる子が増えてくれること
それだけなのです。
だから遠慮などせずに連れてきてもらえれば・・・
それが私の一番の願いなのです。
逆に私にできることは連れてきてくださった野良猫ちゃんに『避妊去勢手術』をしてあげることだけ・・・
保護団体の方、保護活動をされている方のためにできることはそれだけしかないので・・・
だからできる限り協力したいと思っています。
周りの獣医師と違った変わった考えだったとしても、これが私なのです。
私ができる殺処分ゼロへの活動・・・
ほんの少しだけかもしれないけれど、
それでもゼロへの一歩だと思っています。
場 所 ル・オーナペットクリニック
鹿児島市玉里団地３丁目１９−６（タイヨー玉里団地店そば・モンキープラザ商店街目の前）
099-228-2102予約制となりますので、必ず前日までにご連絡ください。
（このお電話の際、連絡先と予定しているおおよその頭数を確認します）
条 件
野良猫もしくは多頭崩壊のお家の猫であること（飼い猫は含まれません）
避妊去勢手術と耳カットをし、元いたところに離すこと家で飼う予定、もしくは、里親に出す予定の子は含みません。
（守られない場合はお断りさせていただきます）
基本的に日帰り 午前中連れてきてもらい、夕方迎え
（ただし遠方から来られている方に関しては、なるべく待ち時間が少なく済むように努力させていただきます）
生後２ヶ月以上（体重は問いません）（野良猫の場合、生後どのくらいかわからあないと思いますので、とりあえず連れてきてください）
妊娠している場合は、お母さん猫には点滴などの処置を無償で行いますただし、供養代（1000円）をいただき、こちらで火葬させていただきます。
ノミ予防、抗生剤２種投与は必ずこちらで実施させていただきます。（手術費用に含まれています）費 用 避妊去勢手術ともに６000円（ノミ予防・抗生剤２種投与含む）
（必ず耳カットもする）