今日はお昼休みに動物管理事務所に診察に行ってきましたよ
アラフォー獣医師 浜崎菜央です。
動物管理事務所については、先日慰霊祭のお話で書きましたよね。
わんちゃんやねこちゃんが保護されている施設です。
こないだも書きましたが、
動物管理事務所は昔のように殺処分していないということ。
(前回の記事は 命をいただいてわたしたちは生きている)
「動物管理事務所は、毎週殺処分をしている」
と未だに思っている人が多いのだけど、
実際はそんなに行われていないんです
むしろ、動物管理事務所の方たちは、
終生飼養ということに着目して、
いかに寿命を全うできるかと考えています。
獣医師会と連携を取り、
毎週必ず獣医師が保護されているわんちゃんねこちゃんたちの診察を行うようになっています。
こうするようになってから、
治療できる病気に関しては治療をし、譲渡という形を取れるようになりました。
また、動物管理事務所で亡くなった子が、
寿命を全うしてなのか、管理不足なのかということも探ることができるようになりました。
殺処分をしないように求める声が多いことはわかっています。
私もできることなら、殺処分がないほうがいいとも思っています。
ただ・・・
殺処分しないようにということだけフォーカスするのはいかがなものかと思っています。
殺処分数を減らすということは、収容される頭数が増えるということ。
収容される頭数を減らそうとするためには、譲渡率を上げなければならない。
この式が必ずしもうまくいくと考えないでほしいのです。
前からお伝えしていますが、
動物管理事務所に来る子たちは、
昔のように子犬ばかりではありません。
(小犬は昔に比べ減ったので、今は希少で、すぐに貰い手も見つかります。この子たちは今度愛護フェスに連れて行く子たち)
むしろ、高齢になり管理できなくなったり、
飼い主さんがお年寄りで施設に入らなければならなくなったため飼えなくなったり
というケースのほうが多いのです。
ということは、
収容されている頭数の一部は、
高齢で病気を持っていたり、介護が必要であったりするのです。
中にはそれでも譲渡されるケースもありますが、
高齢で病気持ちの子を迎え入れるというおうちは少ないと思います。
つまり、収容されている頭数の一部は、終生飼養となり、
ずっと動物管理事務所で収容されているというわけ。
殺処分しないで、譲渡もされない子がいるということは、
収容の頭数が増えるということ。
殺処分は減っているけれど、
譲渡率が上がらない理由はここにあります。
譲渡率だけにフォーカスすれば、
譲渡率100%になんでできないの?
もっと頑張りなさいよ
となるのでしょうが、
こういう現状があるから、難しいのです。
動物管理事務所に収容できる頭数は限りがあります。
そして、そこで働いている人にも限りがあります。
その中で、収容の頭数が増えていっているということを理解していただきたい。
殺処分を減らせ
譲渡率をあげろ
周りから言うことは簡単なことだと思います。
でも・・・
実際中の人間は、できる限りのことをできる範囲で頑張ってしているのです。
その努力をもって、今の状況なのです。
ねこちゃんに関しても、30頭近く。
それを朝から晩まで、できる限りお世話しているのです。
状態がいい子に関しては、
一人ずつ外につないで日向ぼっこさせたり、
一人ずつ散歩に連れていったり、
もちろん、おしっこうんちの処理もし、
床も定時にきちんと清掃します。
しつけが必要な子たちは、少しずつ慣れるように触れ合うようにしています。
シャンプーやブラッシングが必要な子たちは、ちゃんとケアしてあげます。
動物管理事務所で働いている人たちには、心がないだの、なんだのって
周りは口にしていますが、
私は周りのどの人よりも心優しいと思っています。
もしかしたら、私よりも動物思いかもしれません。
一人一人きちんと向き合って、新しいお家にいって幸せになれるよう
お世話しています。
一方では殺処分ゼロになるように取り組めと言われていますが、
やれる限りのことはしてるんです
私が書いたことがある限り、正直ゼロになることなんて不可能だと思っています。
もし仮にゼロにできるとしたら、
高齢の子は引き取らない
問題の子は引き取らない
と譲渡の可能性のない子たちを引き取らないというふうにした場合だと思います。
実際はそんなことはできないんですよね。
だから・・・
本当にゼロになるようにしようというのであれば、
実際にわんちゃんねこちゃんたちを飼っている人たちの意識レベルを上げる必要や
野良猫の対策について全住民が協力して考える必要があると思います。
動物管理事務所の人たちをたたく前に
まず自分ができることをしてほしい。
それぞれができることをすることで、新しい改革が生まれると思います。
わんちゃんもねこちゃんも住みよい街になりますように・・・