犬猫の避妊去勢手術をする時期って?生後何ヶ月でできる?早期避妊去勢手術の重要性 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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『避妊去勢手術ができるのって生後何ヶ月からですか?』

 

『体重は何キロ超えてないと無理ですか?』

 

よくある質問の1つ。

 

ル・オーナでは、

 

生後2ヶ月くらいから

 

そして、体重は1キロ未満でも

 

普通に実施しています。

 

 

(先日病院のそばのコンビニで迷子になっていた子猫・・・捕獲してオペしてあげました。)

 

 

 

 

日本で一般的に行われているのは、生後6ヶ月前後。

 

アメリカのシェルターなどでは、10年以上前から『早期避妊去勢手術』が行われています。

 

『早期』というのは、生後2〜4ヶ月齢の性成熟前の時期のこと。

 

 

 

日本ではアメリカほど実施している施設が少ないこともあって、

 

生後2ヶ月から避妊去勢手術をしているというと、びっくりされることも多いですよね。

 

 

ル・オーナでも

 

『生後2ヶ月から避妊去勢手術ができます』

 

とお伝えすると、

 

びっくりされたり、心配されたりすることが多くあります。

 

 

が・・・

 

麻酔や手術にに関して、早期であっても安全であることは分かっていますし、

 

早期に避妊去勢手術をしたからといって、健康面や行動面で大きな影響はない

 

ということも分かってきているんです。

 

 

 

最近では、猫たちの体格が小さめになってきている傾向があります。

 

昔は、5キロ以上の体格のいいボス猫!って感じの子(私が個人的に好きなタイプハート

 

たくさんいたのだけど、

 

もう最近はほとんど見かけなくなりました。

 

 

「お、大きめだね」

 

と言って体重を測ってみても、

 

4キロ台ということも少なくありません。

(個人的にがっかりしている・・・)

 

 


(この体を見てください・・・太りすぎて動くもの大変そうでした・・・)

 

 

 

 

「4キロ超えている子、結構いるじゃん!」

 

という人もいるかもしれないけど、

 

それは、『肥満』で4キロ超えしているケースがほとんど。

(うちの病院に来る子でも、8キロ超えている子がいます。体格は人並み・・・汗

 

 

 

 

とにかく

 

昔ながらのボスっぽい体格のいい猫は、かなり減ってきています。

 

 

標準の体重は、3キロ前後になってきていて、

 

2キロ台の子も少なくありません。

 

 

 

 

『2キロ超えてないと手術はできない』

 

としている動物病院もありますが、

 

そうしていると、妊娠してしまうケースも最近は多くあります。

(実際、手術ができないと待っている間に発情がきたり、妊娠したりして相談を受けます)

 

 

 

それから・・・

 

「体格が小さいから、生後数ヶ月だろう」

 

と判断を間違うケースも多くあります。

 

これは、一般の方も、保護団体の方も、見誤っていることがあります。

 

 

本当は成熟しているのに、年齢の判断を間違うことで、

 

発情や妊娠につながってしまうケースもあります。

 

 

 

また、昔と違って良質なフードが増えたこともあり、

 

おそらく発育は良くなってきてるのでしょう。

 

生後5ヶ月で発情がきている子を最近はよく見かけます。

 

(手術をしたら、発情中かどうかわかるんですよ・・・)

 

 

 

そういった理由で、

 

『早期避妊去勢手術』はどんどんされていくべきだ

 

と個人的に思っています。

 

 

 

 

早期避妊去勢手術に対して抵抗がある方や

 

実際のところどうなんだろう???と疑問を持たれている方が多いので、

 

少しここでお伝えしようと思います。

 

 

 

まず・・・

 

早期(生後2〜4ヶ月)で麻酔をかけるということに関しては、

 

生後5ヶ月以上の場合とほとんど麻酔のリスクは変わりません。

 

 

麻酔をかけるということに関しては、

 

どの年齢であっても、慎重に行うことで、クリアできると思います。

 

 

 

手術の負担に関しては、

 

実は生後2〜4ヶ月くらいの時のほうが、

 

脂肪や血管の発達が少ないので、手術はスムーズに行えます。

 

そして、血管がまだ発達していないということは、手術中の出血の減少にもつながるわけです。

 

つまり・・・

 

手術がしやすい、スムーズということは、単純に手術時間の短縮につながって、

 

手術の負担を減らすことにもなるわけです。

 

 

 

そして、

 

生後2〜4ヶ月の子たちの場合、手術からの回復が早いように感じます。

 

半日もすると、シャキッとなって、

 

ご飯もモリモリ食べたり、他の子と走りまわったりすることもよくあること。

 

 

それから・・・

 

麻酔や手術に対するトラウマも少ないように感じます。

 

すぐに回復するからか、

 

幼い時のことで記憶に残りにくいからか、

 

手術をしたから怖い!

 

という認識がされにくいように感じます。

 

 

 

昔は、

 

早くに手術をすると、尿道が狭くなって、尿石症になりやすくなる

 

とか言われたりしていましたが、

 

論文でも大差がないということが言われているので、

 

問題ないと思います。

 

 

 

ここまでは、飼い猫飼い犬や野良猫のどちらでも言えること。

 

ここからは、野良猫に挙げられるメリット。

 

 

 

野良猫が赤ちゃんを産んで、人前に連れてくるようになるのが、

 

生後1ヶ月半くらいから。

 

 

 

 

(この3人も、生後2ヶ月くらいでオペしました。オペ直後なのに顔つきもしっかりしてます)

 

 

 

 

 

その時期であれば、まだ人慣れしやすかったり、触ることが可能であったりします。

 

つまり、捕獲しやすいということ。

 

 

せっかく捕獲しても、

 

『生後半年にならないと手術はできない』

 

『体重が2キロないと手術できない』

 

と言われてしまったら、

 

また離すしかなくなるわけです。

 

 

離したら最後。次は捕まらなくなってしまう・・・

 

というケースも多いのです。

 

 

でも、早期避妊去勢手術ができれば、

 

生後2ヶ月でも手術ができ、野良猫が増えていくこともより少なくなると思うのです。

 

 

 

もしも、保護団体の方や保護活動されている方が

 

生後2ヶ月くらいで避妊去勢手術をして譲渡会に参加した場合も、

 

手術をしていることで、その後多頭崩壊の可能性を考えないで済むことにもなります。

 

 

 

 

なぜ他では早期避妊去勢手術をしていないのか?

 

なぜ他ではできないと断れたのか?

 

という相談もあります。

 

 

手術の方法も病院によって違いがあるもの。

 

麻酔の方法や術式も様々なのです。

 

 

 



(実際の傷口はこんな感じです。1センチ弱かな)

 

 

 

 

うちの場合は、手術の傷口は最小限に抑えてしています。

 

猫の場合は、1センチくらい。

(妊娠していた場合は異なりますが・・・)

 

傷口が小さくできていない場合は、

 

なかなか生後2ヶ月の子に行うことは難しいかもしれません。

 

 

 

それから・・・

 

『生後2ヶ月の子に麻酔をかける』こと自体

 

経験が少ないから抵抗がある

 

という獣医さんも多いと思うのです。

 

だから、自然と難しいと伝えてしまうのかもしれません。

 

 

 

私たち獣医も、

 

知ること見ること経験することの違いで、

 

同じように誰もができない部分があるのだと思うのです。

 

 

私もその一人です。

 

 

多くのことを知り、見て、経験をしてきたからこそ、

 

今があるのだと思っています。

 

 

この方法で、少しでも多くの子が救われるのであれば、

 

これからも頑張ろう!と思っています。