命のビザ | 雨の降らない国

雨の降らない国

ピグでの活動をときどき報告しながら
東電福島第1原発警戒区域の問題など
動物関連の話題を紹介しています。
うちの猫や読んだ本の話なども。

長らく、ブログを放置していました。

巖手屋さん南部せんべいが、その後、すぐ届いたこと

関東地方の野菜を一切扱わなくなった生協にガッカリしたこと
積極的に東日本産品を応援する、Oisix  をできるだけ使っていること

福島県産野菜については、ネット直販 で購入してみたこと

せんべいも、野菜も、おいしかったこと

書きたいことは、いろいろあったのですが、どうしても、手につかず。

京都は震災の被害は、ほとんどなく、平穏な日常が続いています。
こんな状態で何を言ってるのだと、自分でも思うのですが、
通常の番組がほとんどになってしまったTV(西日本だから?)の
バラエティ番組などには、拒否反応が出て、何も頭に入りません。
出演者の「被災者の方へ」の見舞いの言葉も、とってつけたようで。

「こんな安全で便利なところでぬくぬくしている」私でさえ、めげている
のですから、被災された方々の辛さは、計り知れません。
だから、うかつなことを言ってはいけない、と縮こまってしまう、ヘタレな私。でも…

地震・津波の被害のすさまじさは、映像で見ただけで、くじけそうです。
生きて、この災厄から立ち上がろうとしている方々への賞賛と支援は、
だれもが惜しまないところでしょう。
いくらあっても足りない支援とはいえ、とりあえず、…

私は、今、それ以外のところに、気持ちを寄せたいと思います。

御遺体がまだ見つからない方々やその御家族のこと。
むごい状態の御遺体を、それでも探し求める御家族がおられます。
危険をおかして、行方不明者をひとりでも家族の元へ返したいと
捜索が行なわれています。でも、長く安置されている御遺体や、
時間が経ってから収容された御遺体は、家族に見つけてもらうまで、
長い時間、置いておくことができません。
その時間をつくるために必要な物を送る運動があります。

株式会社ユウキ  に振り込みをすると、ドライアイスが送られます。

活動されている方のブログ どうせ地球の チリだからな。

既に亡くなっている方よりは、生存されている方へ支援したい方にはすすめませんが、
どっちにせよ、あの赤十字等へ送った義援金は、今のところ、そのどちらの役にも立っていないようです。


そして、もうひとつ。

私は、被災した動物たちのことが、頭から離れません。

生き延びても、飼い主が亡くなったり、生活基盤を失っておられること
が多く、保護施設に預けたり、泣く泣く、里子に出すなどしておられる。

漂流中に救助された犬の話は、「明るい話題」として、大きく報道されたので、
保護活動のブログなどを読まない人は、たいてい、それしか知りません。
もちろん、1頭でも、飼い主の元に戻れたのは、良い事ですが。

そして、もっとも悲惨なのは、原発事故の避難地域に取り残された動物たち。
なぜか、テレビは、たまにしか、取り上げません。
避難地域内での活動を紹介するのは好ましくない、という配慮でしょうか。

地獄絵図です。

繋がれたまま、飢えて、やせ衰えて死んだ犬(おそらく、相当数)
閉じこめられたまま、共食いの犠牲になった猫
 (室内に残された小型犬や猫の生存率は、10%以下だとか。
 でも、少数でも、まだ必死で生きているコがいます。)
他の犬に噛まれて大きな傷のある犬
急に外へ放されたか、餌をとることができずに餓死したシャム猫
牛舎の中には、見捨てられ、息絶えた多くの牛
 (いずれ屠殺されるにしても、
  あの日までは大事に世話されていたはず。
  TVに登場するヨロヨロと逃げていく牛は、「幸運な」生き残り、
  いや、このままだと、苦しむ時間が長いだけかも)

あまりに悲惨すぎて、写真の掲載を控えているブログも多いのですが、
下記のブログには、写真があります。

犬猫救済の輪

DJ村内オフィシャルブログ

また、犬猫救済の輪 さんでは、
各省庁への嘆願書を送信する運動も行なっておられます。
御協力いただける方は、お願いします。

野外で何とか生活している犬猫もいますが、避妊去勢していない個体も多く、
このまま放置した場合、人間を知らない、本当の「野犬」が誕生するでしょう。

他にも、たくさんのブログが、こうした問題をとりあげ、
情報を広めようとしています。

しかし、こうした運動に、反発する人達がいます。
動物が嫌いな人でなく、保護活動をしているという立場の人達です。

ある団体代表は、twitterで。
「飼い主からの依頼のない救出活動は、すべて違法」などと。
もっと酷いことも言っていたのですが、確認したら、削除したらしく、
「…飼い主もしくは地元の獣医師、動物保護団体、議員等から依頼もなく、
伴侶動物を捕獲し、保護監禁、勝手な医療行為などをしている全国の
動物保護団体、個人ボランティア等については訴訟の予定があります。
今後の活動に気をつけるように!!」
というのが、残っていました。

また、地元の「アニマルレスキュー」を名乗るブログでも、こうした非難を
行なっている例があります。

ブログ主の知り合い女性が、余震に驚いて預け先から逃げ出した自分の犬を
某愛護団体によって、勝手に里親募集にかけられそうになったとかで、

自分の団体のHPやブログに載せただけで、飼い主不明の扱いされても、
地元の人、特に高齢者は、そんなものは見られないし、探せない。
ちゃんと地元の保健所に届けるべきだ。

……ここまでは、理解できます。でも、

保健所に届けを出さないのは、禁止されている20km圏内に
勝手に入って持ち出したために、届け出もスクリーニングも
本当はできないのだろう。
警察の目を盗んで避難地域に侵入したことを武勇伝のように…
放射性物質を持ち帰ったら2次被爆の可能性が高くなる、等々

じゃあ、20km圏内に残された動物が餓死するのは、もう決定で、
そこから救出された動物は、汚染物質なの?
「反論に応じるつもりはない」そうですので、ここで、勝手に憤慨しておきます。

自分のブログで主張をするのは自由とも思ったのですが、
コメント欄は、「よく教えてくれた。うちでも拡散します。」などという声ばかり。
おまけに、「行政の方に訴えたら」などという提案まであって、
それが実行されたのか、上記のDJ村内さんのブログによると、
いわき保健所に抗議の電話があったそうです。

こうした主張をする人達がつかう言葉は、
「地元は、みんな怒っている。」とか「福島県人として」、そして
「被災者の心を傷つけるな。」です。

そりゃ、私だって、津波に全てを呑み込まれた人に、
「なぜ、動物を助けなかった?」なんて言いません。
ペットを助けようとして、命を落とした優しい方は
わかっているだけでも、1人や2人じゃなく、本心から
そうした方達には、天国で幸せに暮らしていてほしい、と思えます。
本当に、ただ映像を見ていただけでも、ダメージがあるほど
圧倒的で、打ちのめされるような天災だったのです。

でも、避難地域で放置された動物たちは違うでしょう。

彼らが苦しみながら死ぬことになったのは、

地震でも、津波でも、放射能のせいでもありません。

充分な説明もなく、いきなり非難させられた住民が、

そのまま、二度と戻ってこられなかったからです。

緊急避難時に「動物は連れて行けない」「すぐ帰れる」と説明された
と救援依頼をしてきた住民の方々がおっしゃっているという話です。

最初から、だましてでも、急いで避難させるという計画だったのか、
指示を出した方も、こんな事になるとは思わなかったのか、
それとも、こんな緊急時に動物なんかどうでもいいと考えただけ?

「避難地域に戻ったら逮捕される」というデマまで流れていたそうです。

人間の健康の方が大事だから?
じゃあ、いつか、我が家に帰った避難者が、最初に目にするのは、
餓死したかつての「家族」の残骸だってことは、どうでもいいの?

自分の良心より法律。お上の言うことは絶対。
そういう「真面目」な気質だから、国の言うことを信じて、
原発を受け入れたんだろうかとさえ思えてしまう。

私は、命のビザ  が頭に浮かびました。

当時の官僚としてのルールよりも、人間としての良心を優先させた
外交官がいたことは、今、私たち日本人の誇りであると思われています。




人間を動物と一緒にするな?
当時の少なからぬ人々は、「ユダヤ人だから、しかたない」と
虐殺されるのを見て見ぬふりをしていたそうですよ。

救える命は救いたい! こんな苦しみを放置することこそ罪である。
その声が聞こえる人に、幸いあれ。
心から、そう祈っています。

避難地区への立ち入りが難しくなってきて、
現在では、「住民からの救出依頼を受けている」と言っても
通してもらえないという報告を読みました。

避難した留守宅を狙う犯罪者の侵入が多発していることもあるでしょうが、、
上記のような活動家や、その賛同者から、他県からの保護団体を入らせるな
という抗議が来ていることもあるのでは、と気になっています。
それとも、ブログなどで、惨状が紹介されることで「イメージが悪くなる」から?

強制的に残留者を立ち退かせ、立ち入りを阻止できる「警戒区域」に
規制が強化されるのに備えて、というのもあるかもしれません。

そう書いているうちにも、まもなく「警戒区域」に指定されるという情報が。
もしそうなら、ついに、生き残ったコは、見殺しです。
@yamajitoru


おまけに、空き巣だけでなく、「野次馬」まで、侵入しているそうで、
そういう輩こそ、まさに「被災者の心を傷つけている」のは言うまでもありません。
汚染された防護服がポイ捨てしてあったりするのは、そういう連中のしわざでしょうか。

今後、ますます、救出活動は困難に、生存率は低くなっていくのでしょうが、
私は、なんと言われようと、救出活動を応援します。
どうか、お気をつけて!