2300本への道のり あるいは映画鑑賞方法変遷史 | 映画の楽しさ2300通り

映画の楽しさ2300通り

ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

2023年3月24日、「ロミオ+ジュリエット」のバズ・ラーマン監督作「エルヴィス」をなんちゃってホームシアター(※1)で相棒と楽しんだ結果、鑑賞リストの本数が2300本に達したので、ブログのタイトルを「映画の楽しさ2300通り」に改称しました。

2300本が多いのか少ないのか、自分が観た映画の数を数えていない方にはピンとこないと思いますが、多い方ではないでしょう。
中学生になって本格的に映画を観始めてから53年。週1本新たに映画を観れば2750本を超えるはずですから、"しょっちゅう映画を観てる"と言うには若干足りないようです。
勿論、映画評論家であればこんなものではないことは言うまでもありません。まあ2度3度と観た作品もあることを考えればよく観ている方と言えるでしょうか。

映画の観方も観始めたころからだいぶ変わってきました。
やはり映画好きだった両親に連れられて映画を観に行くことが多かったです(「ゴジラ」や「ガメラ」は映画館で観ました)が、自分が好きな映画を率先して観るようになってからは、有料で沢山観ることもできずもっぱらテレビ放映がたよりでした。
当時は淀川長治を始め、荻昌弘、水野晴郎、増田貴光、小森のおばちゃまほかさまざまな評論家が視聴者をナビゲートする"映画劇場"が日替わり放送され、毎日のように映画を観ていました。「波止場」や「情婦」を観たのはこのころです。

そのうち、初めてひとりで観に行った「ホットロック」を皮切りに映画館に通うようになると、テレビ放映のCM、カット、吹替が煩わしくなり、何とか安く映画館で観ようとプレイガイドで前売り券を学割購入(当初は450円)したり、二本立て、三本立ての名画座(池袋文芸坐が二本で150円!)に通ったりしていたので、ぴあやシティロードが大いに役立ちました。

結婚と共に映画館に行く頻度はかなり減りましたが、それでもときどき相棒と「フラッシュダンス」や「ジャスト・ア・ジゴロ」を観に行きました。
平成の初めに一時過ごしたアメリカではシネコンが一般的になっており、わからないところが多いのを承知で「ドゥ・ザ・ライト・シング」も観ましたがこれは面白かったです。英語字幕付きの「Taxing  Woman(マルサの女)」では、ジョークでタイムリーに笑って優越感を味わいました。
大学の映画イベントで黒澤の「用心棒」に"Before Rambo, There was a Yojjmbo"というキャッチが添えられていたのには笑いましたね。

90年代に入った当初は、BetaとVHSの陣取り争いに決着がついたVTRとレンタルビデオで禁断症状を緩和させていました。
ビデオタイトルは高価なので滅多に買いませんでしたが、映画館で観て気に入った作品(「白いドレスの女」など)は当時の価格設定でも購入。相棒と二人で繰り返し観たものです。
しばらくしてWOWOWがノーカット字幕付き途中CM中断無しの映画放送を開始。やはり繰り返し観た「9時から5時まで」や「地中海殺人事件」はWOWOWからの録画だったように思います。

そしていよいよ「マトリックス」とともに(個人の認識です)DVDが登場。DVDレコーダーも発売され、スカパーやBSの放映との組み合わせでこれまで観られなかった旧作は録画からDVDへのダビングに加えレンタルや購入で、新作も短ければ半年後くらいに、しかも時間もCMも気にせず観られるようになりました。

さらにポータブルDVDプレイヤーが登場したため、片道1時間の通勤時にも映画を楽しめるようになりました。今でこそ通勤電車中にスマートフォンで映画を観ている人は珍しくないですが、ポータブルとは言え7~9インチ画面のDVDプレイヤーでヘッドフォンをして映画を観ている勤め人は奇異に映ったでしょう。

著作権法が改正されるまでは日本公開から50年たった作品はパブリックドメインになったので、「シェーン」「ローマの休日」を始めとする1953年以前に公開された作品のDVDは500円以下での購入が可能になり、ヴィヴィアン・リーの「美女ありき」ほかWOWOWでもなかなか放映しない作品も観られるようになりました。

格安DVDがセットで販売されるようになると、1枚当たり200円以下で「殺人者」などあまり放映されなかった秀作を含むさまざまな作品までが観られるようになり、さらに最近では配信サービスでさらに手軽に(安価とは限りませんが)「拳銃魔」などの旧作から「追憶の森」のような新作まで幅広い作品を楽しめます。

そんなこんなで映画館で観る映画の割合は50本に1本あるいはそれ以下になりましたが、特に映画館で観たいとは思いません。
そもそも観たい映画をやっていないこともありますが、入場料が高いし、コロナ禍の中で気心の知れない他人と趣味のひとときを共有する意義や必要性も感じられない。なんちゃってホームシアターで十分、というかそちらの方がずっと楽しい(※2)です。

と、話が長くかつ少々脱線気味になってきましたが、ともかくもこうやってこつこつ観てきて2300本。そのどれひとつをとっても楽しめるポイントが必ずある、という想いを表したのがこのブログのタイトルです。
その想いの通り、映画のさまざまな楽しさを分かち合えるブログでありたいと思います。

 


※写真は2300本目となった「エルヴィス」。

※1:我が家のなんちゃってホームシアターは、DVD プロジェクターと自立型80インチスクリーン、プラスブルーレイレコーダー付きセットトップボックスで構成されています。メリットについては過去記事「うちのTVは80型」をご覧ください。
※2:映画館にいかないわけについては、過去記事「映画館に行かないわけ」「または私は如何にして映画館に行くのを止めてDVDを観るようになったか」もあわせてご覧ください。