ポール・ニューマン拾遺 | 映画の楽しさ2300通り

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前の記事「反骨・不屈の人、ポール・ニューマン」に書いたように、ポール・ニューマンの映画をもう少し観てみようと思っていますが、その前に自分の復習を兼ねて、彼の出演作をいくつかご紹介します。
通常、拾遺の記事ではおすすめ作品(2つ☆)をご紹介するのですが、今回は自分が観直したいものも含めてご紹介させていただきます。

傷だらけの栄光 (1956)

デビューに近い作品ですが、すでに反骨・不屈ぶりを発揮。但し、実在のボクシング・チャンピオン、ロッキー・グラジアノの伝記的作品でもあることから、彼には珍しい(?)ストレートなハッピーエンドになっています。
Wikipediaによれば、出演が決まっていたジェームズ・ディーンの急死による起用だったとか。若き日のスティーブ・マックイーンが出演しています。

長く熱い夜/熱いトタン屋根の猫 (1958)

前者はテネシー・ウィリアムズ、後者はウィリアム・フォークナーという、アメリカ文学の巨匠たちの原作の映画化。設定に似た部分があるためか同時期の作品を同じころに観たせいか印象がごっちゃになっており、観返してみたい2本です。
「長く熱い夜」はのちにドン・ジョンソンで再映画化(TV映画)されています。

左きゝの拳銃 (1958)

アメリカン・ニュー・シネマの旗手と言われた「俺たちに明日はない」のアーサー・ペンが監督デビューした異色西部劇。
のちにサム・ペキンパーが監督した「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」でビリー(クリス・クリストファーソン)が脱獄するシーンの演出が、本作の脱獄シーンによく似ていたこと、親友パット・ギャレットと対決する直前のビリーの様子が西部劇のヒーローらしからずいかにもおかしかったことが非常に印象に残っています。
邦題と同じく原題も"The Left Handed  Gun"ですが、ビリー・ザ・キッドことウィリアム・ボニーが左ききだったという確証はないようです。

何という行き方! (1964)

ポール・ニューマンは主役でなく、特に強い印象はなかったのですが、シャーリー・マクレーン主演作として楽しく面白いので挙げておきます。
ニューマンほか、ディーン・マーティンロバート・ミッチャムジーン・ケリーディック・ヴァン・ダイクなどそうそうたる男優陣がオムニバス的に登場。デビュー間もないテリー・ガーも出ていたらしいのですが、これは(ブレイク前なので)覚えていませんでした。

太陽の中の対決 (1967)

レビュー記事をご覧ください。

 

ロイ・ビーン (1972)

Wikipediaによると、ポール・ニューマンはこの映画について「撮影は本当に楽しかったし、映画の出来も4分の3は古典と言って良いほどの出来だと思う。しかし、監督も含め皆、この素敵な映画をどう終わらせれば良いのかわからなかった」と語ったことがあるそうで、確かにある意味まとまりがない、だからこそ破天荒な西部の伝説上の人物を活写した作品と言えるかもしれません。
確か封切り当時の邦題は「殺し屋判事 ロイ・ビーン」でした。

オレゴン大森林/わが緑の大地 (1971)

反骨・不屈ぶりでは、父親役で共演したヘンリー・フォンダと真っ向勝負していました。つらい場面がいくつかありますし、必ずしも共感できない(そういう役どころが多いのもニューマンの特徴かも)のに、強い印象を残すキャラクターでした。
本人が監督しているだけに、スター俳優に対する遠慮も受け狙いもない、熱のこもった演技・演出になったのかと思います。

タワーリング・インフェルノ (1974)

一時流行したパニック映画の頂点のひとつ、とされるだけに、超高層ビル火災の制圧とそこからの脱出に力点が置かれた分、ニューマンのキャラは二の次になったように感じますが、消防士を演じたスティーブ・マックイーンの真面目さと頼りがいのあるカッコよさは強い印象を残しました。
この映画を観ている自分は、到底タワマンに住みたいとは思いません。

ビッグ・アメリカン (1976)

ビリー・ザ・キッドといい、ロイ・ビーンといい、「明日に向かって撃て」のブッチ・キャシディといい、実在の人物を演じることが多いニューマンが、西部開拓史における著名人としては珍しく実業家として成功したバッファロー・ビル・コディを演じた作品。
バッファロー・ビルのワイルド・ウェスト・ショーは「西部の王者」(1944)でも描かれており、見比べてみると面白いかも。「OK牧場の決闘」でワイアット・アープを演じたバート・ランカスターが、アープに長銃身のコルト・バントラインスペシャルを贈ったとされる作家のネッド・バントラインを演じたことも話題になりました。
バッファロー・ビルが一座に属するシッティング・ブルを尊敬しかつ嫉妬する様子が印象的でした。

メル・ブルックスのサイレント・ムービー (1976)

大物スターが豪華競演する無声映画を作ろうとするメル・ブルックスらのターゲットの一人として出演。片足を負傷してギブスをつけたまま電動車いすでチェイスを繰り広げるシーンがめちゃくちゃ楽しい。
バート・レイノルズジェームズ・カーンライザ・ミネリアン・バンクロフトらも出演交渉相手として登場しますが、印象に残ったのは彼と、作品中唯一セリフのあるマルセル・マルソー(セリフのないパントマイムの国際的第一人者)だけでした。

「明日に向かって撃て」と「スティング」についてはご紹介するまでもないでしょう。自分が観返すとしてもずっと先になりそうです。
まずはずっと前に観てよく覚えていないヒッチコックの「引き裂かれたカーテン」を。機会があれば「脱走大作戦」「アパッチ砦 ブロンクス」「評決」、そのうちには「ノーバディーズ・フール」を観たいと思います。