受難
帚木蓬生著
角川文庫
2020.6.16読了
☆☆☆☆
韓国の海難事故としては過去最悪の、セウォル号沈没事故を題材としたフィクション。犠牲になった少女を最先端の再生医療で蘇らせたことで、結果的にそれが事故の真相を明らかにすることになる。医師であり、朝鮮半島の事情に造詣の深い著者だからこそ書ける、リアリティ抜群の、そして悲しい物語。未だに事故の原因を特定できず、ずさんな運行管理に対する責任も追及しない国家に対する、痛烈なメッセージ(批判)ともいえる内容です。ちなみに本作品、「受精」「受命」と合わせた3部作の3作目。過去の記録を見てみると、前2作は10年以上前に読んでるけど、どんなストーリーだったかすっかり忘れてるなぁ(笑)。主要な登場人物は同じみたいだし、後でちょっと読み返してみよっと。