読書感想(169)「悲素◆帚木蓬生」 | アルジャーノンにシャンパンを

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♪信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら
どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ♪♪
というわけでブログはじめました。
ちなみに、はつかねずみのアルジャーノンとは関係ありません。面識もありません(^-^)/。

悲素

帚木蓬生著

新潮文庫

2018.3.12読了

☆☆☆

 

すっかり風化した感の強い和歌山毒カレー事件の真相を、捜査にかかわった担当医師の詳細な記録を基に明らかにしたノンフィクション作品。“疑わしきは罰せず”の理論で、刑罰の対象になったのは、膨大な保険金殺人、殺人未遂事件の一部でしかない(それでも死刑確定なのだが)。唯一、バイアスのかからない“医師の目”で記録された本書の記述が、最も信頼できる事件の全容と言えるだろう。楽しめる小説ではないので☆3つとしたが、中毒学の専門知識を駆使した鑑識、息詰まる証人喚問のシーンなど読み応えは充分。