読書感想(92)「薔薇窓の闇◆帚木蓬生」 | アルジャーノンにシャンパンを

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というわけでブログはじめました。
ちなみに、はつかねずみのアルジャーノンとは関係ありません。面識もありません(^-^)/。

薔薇窓の闇

帚木蓬生著
集英社文庫
2015.4.7読了

☆☆☆☆



1900年のパリ万博が舞台のミステリーです。パリ警視庁付の精神科医である主人公のもとに、身元不明の日本人少女が連れてこられるところから物語はスタート。主人公の周りで起きる出来事がひとつひとつつながり、徐々に真相が判明してくるとともに、少女の生立ちも分かってくる、というストーリーです。

しかし著者の他のミステリー作品同様、謎解きのおもしろさや展開の意外さというより、当時のパリの街や万博の喧騒の詳細で美しい描写、登場する人たちの優しく魅力ある言動が、やっぱりこの作品の根幹だと思います。強いて言えば、ラストの部分でそれぞれの人がどのような結末になったか、もう少し書き加えてほしかったな。

ちなみに薔薇窓とは、ゴシック建築の教会にある、円形のステンドグラスのこと。ボクも昨年のGWにパリに行ったとき、ノートルダム大聖堂の薔薇窓を見て、その緻密さと壮大さに圧倒されました。


これがその薔薇窓です。