帚木蓬生著
新潮文庫
2013.1.20読了
☆☆☆☆
その地形により水不足に悩む村を救うため、筑後川に巨大な堰を築くという偉業を成し遂げた5人の庄屋の物語です。地元では教科書にも載っているという実話が基になっていて、5庄屋も実名で登場します。
日本の史実をベースにした著者の作品には“国銅”があるけど、本作のほうが悲壮感が少なく希望に満ちたエンディングで、読んだあとほのぼのとした気持ちになれます。
しかし著者の最近の作品は穏やかなものが多いですね。登場人物もほとんどが善人良人で、まじめに努力している人は必ず報われる、といった感じで。日常に忙殺され、忘れてしまいそうなものを思い出させてくれるいい作品たちです。
著者もそろそろ晩年の域に入ってきて、なにか悟るところがあったのかな?。