辺見じゅん著
ハルキ文庫
2012.12.4読了
☆☆☆☆
呉の大和ミュージアムに行ったときには、展示されている資料を見て当時このような巨艦を設計、建造した造船技術者のレベルの高さにいたく感動したんだけど、この本を読んで再び大和ミュージアムに行ったら、少し違った感想を持つと思う。
映画にもなったし(見てないけど・苦笑)、そのタイトルからなんとなくドラマチックなストーリーをイメージしてたら、実は生還された方への膨大なインタビューに基づく詳細なドキュメントなんですね。
太平洋戦争が始まる1年以上前に進水し開戦直後に就役、そして終戦4か月前の沈没までを、関係者の証言により忠実に再現している。戦艦大和とそれにかかわった人たちの戦闘の記録、と言ってもいい。戦後誤って認識されていた沈没地点の指摘や、有賀艦長が沈没後も生存して漂流していたことなど、スクープとも言える記述もあります。
これほどすばらしい戦艦大和を全く活躍させることなく沈没に追いやった拙い戦術、状況を冷静に分析することなく精神論で突っ走った軍司令部。なぜそうなったかを反省し総括しないと、単に反戦、平和を唱えてるだけじゃ意味ないと思うな。
尖閣、竹島、原発と内憂外患の今の日本も、指導者を誤ると大変なことになるぞ。というわけで、みなさん選挙には行きましょうね(笑)。
