読書感想(44)「ワイルド・ソウル◆垣根涼介」 | アルジャーノンにシャンパンを

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♪信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら
どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ♪♪
というわけでブログはじめました。
ちなみに、はつかねずみのアルジャーノンとは関係ありません。面識もありません(^-^)/。

ワイルド・ソウル

垣根涼介著

幻冬舎文庫

2012.9.12読了

☆☆☆☆


アルジャーノンにシャンパンを


戦後の日本政府によるブラジル移民政策によって渡伯した人々については、時々メディアに紹介されるのでなんとなくは知ってました。日本の高い技術を持って農業などで成功をおさめ、2世3世と続いてその地に確固たる基盤を築いた・・・と。もちろんそんな人ばかりではないだろうけど、本書に描かれているのがブラジル移民の実態としたら、それらはあまりにもかけ離れ過ぎてるのではないか。政府のあまりにもずさんな対応で、想像を絶する悲惨で過酷な生活を強いられた人たち。そんな実態があまり語られないのは、成功者の美談だけをとり上げるメディアや、それをコントロールする政府の策略か?と思わざるを得ない。


ともかく、そんな悲惨な過去を持つ移民の2世たちが、日本政府に対して復讐するというのが本書のストーリーです。綿密に練られた計画、車や銃などのディテールにこだわった設定、登場人物のテンポのいいやりとり。そして重いテーマを扱っているにもかかわらず、意外と明るいエンディング。この著者らしい、感動とちょっと笑いのあるいい作品です。あと、涙の要素があれば完璧なんだけど。

というわけで、限りなく5つ星に近い星4つ。




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