読書感想(19)「あなたに似た人◆ロアルト・ダール」 | アルジャーノンにシャンパンを

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どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ♪♪
というわけでブログはじめました。
ちなみに、はつかねずみのアルジャーノンとは関係ありません。面識もありません(^-^)/。

あなたに似た人

ロアルト・ダール著

田村隆一訳

早川書房

2012.1.13読了

☆☆


アルジャーノンにシャンパンを


この本、読むのにえらく時間がかかってしまった。向かい風の中を自転車で走ってるみたいに、読んでも読んでも進まないって感じで・・・。

ブラックユーモアの効いた短編15作をまとめた本で、スリリングに楽しく読めるものもあるし退屈なのもあって、本全体の評価は難しいかな。

なんせ書かれたのは1940年代なので、ある程度当時の時代的背景や上流社会の風習などを知っておかないと充分理解できないかもしれませんね。ワインのことも「ポマールやモンラッシェ」なんて表現してるし。

ワインといえば、最初に収められてる「味」という作品。富豪のワイン蒐集家が出したワインを美食家がブラインドテイスティングで当てるという賭けで、賭けられたのは富豪の娘と美食家の別荘というありえない設定。しかし、息詰まるテイスティングのシーンでは、美食家がワインの色、香り、味などから情報を拾い想像を膨らませて、シャトーとビンテージを絞り込んでいく過程の表現には唸らされました。ワインに相当詳しくないとあんな表現はできないし、ワインが日常的な国ならではの作品といえます。ちなみに正解は1934年のシャトー・ブラネール・デュクリュ。こんなのを題材にするのもすごいです。




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