夜別

高館灯を張り 酒()た清し

夜鐘残月 雁 帰る声

只言う 啼鳥の侶を求むるに堪えたりと

(いかんとも)する無し、春風の行くを送らんと欲するを

黄河が曲る里 沙を岸と為すを

白馬岸辺 柳の城に向く

怨む莫れ  他郷暫しの離別

君 知るや 到る處 逢迎あり

 

Yoshiのつぶやき】

今もそうだが、中国で東西の移動は、

長距離では、黄河、長江しかない。

巴里へ行くのに、空を飛ぶと、眼下に

見るのは、赤茶けた山と山頂の雪である。

何につけ長江が主役になるのが良く判る。

偉そうに言えば、今の時代の旅行者と唐

の時代の旅行者の紀行とは異なるだろう。



要塞

雪浄く 胡天 馬を牧して還れば

月は明るく (きょう)(てき) 戎楼(じゅろう)の間

借問す 梅花(いずれ)の処より落つる

風吹き 一夜 関山に満つ

 

Yoshiのつぶやき】

雪が(きよ)いところ、北の大地を馬で駆けて帰って来た

月は明るく、あちこちの匈奴の城から(きょう)(てき)が聞こえる

梅の花が落ちて来る。どこからだろう。

風が吹き、一晩中 関所の山々に落ちるだろう。

 

春と冬が入り混じった光景だ。戦争の最中だというのに

のどかな感じが不思議だ。

戦場で梅を見る。危険が伝わってこないのも不思議だ。

 



JOYA



旅館の寒灯 独眠むれず

客心 何事ぞ (うたた)凄然

故郷 今夜 千里を思う

霜鬢 明朝 又一年

 

Alone in an inn by a cold lamp I stay wake         

One might wonder what is troubling this traveler’s heart of mine

A thousand li away my people must be thinking of me

Grey haired already, I shall be a year older overnight          

 

Yoshiのつぶやき】

今日はいつもとちょっと感想が違う。

同じような別れの漢詩が多いな!