リアル ジャズ スピリッツreal jazz spirits -5ページ目

仲野麻紀⑳

傲慢で、ジャズなんかまるでわかってなくて、友達ヅラしてエラソーに君たちに自分を偽れと言った俺は、なんと詫びたらよいだろう。しかもリクエストに「枯葉」なんて頼んだ俺は死んだほうがいい。でも、ホンモノの音楽に触れる機会のない故郷の田舎者たちに、少しでもとっつき易くするための苦肉の策だった。エンターテイメントのサービスの部分を君らに押し付けてしまったことに変わりはない。でもイヤイヤだったろうけど「枯葉」を演奏してくれた時、俺は君のために死んでもいいと思った。これまで聞いたことのない素晴らしい「枯葉」だった。

仲野麻紀⑲

2007年8月、我が故郷のイタリアン・レストランにてlive。客は悲しいかな20人に満たず。またも俺の失策である。それでもフランスからの二人はいたって平常心。俺は約束したはずの人間にドタキャンされて、キレる寸前だった。そして麻紀から耳を疑う一言が発せられた。「今夜はスタンダードと看板にあるけど、やはりフランスでやってることをやる。自分達の追求しているものをやりたい。」口調は柔らかだが、有無を言わせない麻紀に俺はウナヅクばかり。アタリマエである。俺が愚か者なのである。ホンモノのミュージシャンに対して、無礼な態度は俺だ。

仲野麻紀⑱

我が故郷のdeepblueの海原に、夏の終わりの昼下がりに、フランス人と日本人が風景に溶けこんでおる。俺は麻紀とヤンが海の中で戯れる姿になぜか落涙。モネのようだ。北野武の映画のようだ。美しい。時間も音楽も、夏の香りある風に静かに流れていく。「麻紀!上がらないとliveに遅れるよ。」と俺。そう、liveの三時間前というのに悠々とバカンスを楽しんどるのだ。このジャズマンは。自分の故郷を思ったのだろう、ヤンは海を名残惜しそうに見ていた。でヤンの一言。「今夜のステージでは、今日佐渡に来て感じたものを弾こうと思う。」さすがだ!