ロラン・バルト『ロラン・バルト モード論集』ちくま学芸文庫。読了。
おすすめ度3
難易度4
ロラン・バルトが主著『モードの体系』にいたるまでにバルトが発表したモード論を一冊にまとめた本。
まあ、モードと言われても何のこっちゃらかもしれないので補足するとファッションの流行のことと考えてくれるといいかと。
バルトはココシャネルやダンディズムとは何ぞやといったことをこの本では論じているんですな。
にしても、服とかモードとか言われても、そんなのはシャレオツな人間が勝手に楽しんでいれば、いいのであって学問的に何か面白いのって人によっては思うかもしれません。
いやいや大事な話なんですよ。この近代社会に生きる私たちには。
というのも、かつては階級と服飾は結びついていたが、フランス革命以後民主化して平等という価値が広まると服飾によって階級の違いを表現することはいけなくなったんですね。
そのため、自分が何者であるかを表現するためには細部の違いが問題になった。
そして、細部を表現するためにいろいろ工夫をするとある種のモードが生まれるのですが、みんながそれを着ると別のモードを次々に生み出すという、何かいまのファションの世界の流行が目まぐるしく移り変わりますよねっていう話につながっていくんですな。
いやー大変ですね。服にあまり関心のない僕にはこのモードの変転はめまいものです。
かつての古代中国のように衣服が厳密にコード化されていて、モードは存在しない(p137)
っていう世界のほうが楽な気がしますな。
*以前、鷲田清一先生を紹介したときにファッションの話はしていますね。こちらも興味のある人は参考にしてください。
鷲田清一『ちぐはぐな身体』筑摩書房。
https://ameblo.jp/akushiroreshi/entry-12445621050.html
鷲田清一『モードの迷宮』ちくま学芸文庫。
https://ameblo.jp/akushiroreshi/entry-12451589783.html
まあ、近代社会特有の衣服のモードの問題ですが、これどう研究するのってなりますよね。
その際、彼の方法論はソシュールの言語学・記号論からヒントを得るんですね。
言語って、言葉がたくさんあって、それを分類する仕方や文章を作る際にルールあるよね。
衣装の世界も同じように服装はたくさんあるけど、それを分類したりする方法とかに何かルールあるんじゃないといった発想をするんですな。
まあ、この辺は普通に難しい話なんで、衣服の着用って恥ずかしいからとか、身体を守るためといった単純な話でないことだけ覚えておいてくれればいいかと。
「衣服の着用は羞恥心、装飾、保護の理由をこえて、本質的に意味作用の行為なのである。それは意味作用の行為であるからこそ、社会の弁証法のただなかに置かれた、根本的に社会的な行為なのだ。」(p147)
*バルトの議論は言語学、記号論、構造主義についてある程度知っていないと読みづらいと思うので以下に紹介する書籍を読んでから、挑戦されるといいかと。
構造主義の入門はこちらから。
橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社現代新書。
内田樹『寝ながら学べる構造主義』文春新書。
記号論の入門はこちらから。
池上嘉彦『記号論への招待』岩波新書。
ソシュールはこちらから。
丸山圭三郎『ソシュールを読む』講談社学術文庫。