喜劇で歴史が好きになる!? かもしれませんよね。
『その場しのぎの男たち』
なんという魅力的なタイトルだろう。
魅力的とはおかしな表現だろうか。
もし、男たちではなく、「その場しのぎの女たち」だったら、
なんという嫌なタイトルだろう。
どうしてだろうか。
きっとこうだ。
『その場しのぎの男たち』って、なんだかどこにでもいそうだから。
劇団東京ヴォードヴィルショー第69回公演として、
本多劇場で上演された作・三谷幸喜、演出・山田和也の舞台を観た。
その場をしのいだのは誰かといえば、
明治24年、時の政府の面々である。
5日前に内閣総理大臣に就任したばかりの松方正義、
内務大臣で、そう、あの人の弟、西郷従道、
外務大臣、青木周蔵、
竜馬やら桂小五郎と親交のあった陸奥宗光、
後藤象二郎、そして、初代総理大臣の伊藤博文。
明治、大正の政治を動かした面々たちに、ある夜、困った問題が勃発した。
それは、外遊中のロシア皇太子に何者かが切りかかるという前代未聞の事件だった。
怒ったロシアから戦争をしかけられたら一大事!と、焦る面々。
「総理大臣になったばかりだというのに、なんてこった!」
「この場をどう乗り切る?」
「どうごまかす?」
「どう収める?」
という具合に、その場しのぎの男たちが右往左往するという一幕劇。
腹のさぐり合いと、権力の誇示、策を練って!?実行すればするほど
事態は思わぬ方向へ進んでいく。
最初は「あらあら!」なんて思いながら観ているのに、だんだんと
「それからどうする?それでどうする?」なんてちょっと意地悪な目線で観てみたりして。
伊藤博文を演じたのが、来年喜寿を迎える伊東四朗さん。
その場しのぎの男たちをちょっと上から目線で見ながら、「あーあ!」なんて言っちゃって
ぼそぼそと事の成り行きにツッコミを入れる伊東さんの伊藤さんがおかしいったらない。
客席は気がつけば「ここはお茶の間か」と間違うほどに、リラックスした気分で笑っていた。
歴史嫌いの若者も、こんな舞台を観てから勉強を始めれば、興味が湧くかもしれない。
ただし、舞台ではこんな人物だったけれど、史実では・・・・・・というのをおさらいしないと、
テストで点数はとれないかもしれないけれど。
お茶の間みたいな本多劇場での公演は終わり、
舞台は2014年の5月まで地方公演で全国を回るそうだ。
よく見るとわが地元でも上演されるらしい。
よりお茶の間みたいに笑えるかも!?
伊東四朗さんは、ヴォードヴィルのメンバー
市川勇さん、石井愃一さんとは
お茶の間を賑わせたTV「見ごろ食べごろ笑いごろ」で
彼らがまだ10代の頃に共演したそう。
「時とは残酷なものですねぇ」と伊東さん。
<公演日程>
2013年10月18日(金)~10月31日(木)
下北沢 本多劇場