彼女のおよそ3秒の手の動き『ロスト イン ヨンカーズ』 | 拝啓、ステージの神様

拝啓、ステージの神様

ステージには神様がいるらしい。
だったら客席からも呼びかけてみたいな。
観劇の入口に、感激の出口に、表からも裏からもご一緒に楽しんでみませんか。

拝啓、ステージの神様。


その女優のその手の動きが、たくさんの思いを語っていました。



ニール・サイモン 原作、三谷幸喜 演出、

舞台『ロスト イン ヨンカーズ』。

PARCO劇場での平日の夜公演。上演時間は、たっぷり3時間10分。



これはある家族の物語。


カーニッツおばあちゃん(草笛光子)

厳しい人、ダメ出しの人、家族みんなから逆らえないと思われている人、そして。


エディお父さん(小林隆)

おばあちゃん(実母)には全く頭が上がらない人、亡くなった奥さんをとっても愛していた人、

弱気だけどちょっと呑気な人


ベラおばさん(中谷美紀)

かわいい人、母思いの人、頭の中でいろいろなことを思い描く人、頭が少し弱いけれど、芯の太さがある人、跳ねるように歩く人


ルイおじさん(松岡昌宏)

大きい男になりたい人、おばあちゃんを慕っている人、かっこつけたい人、甘えたかった人


ガートおばさん(長野里美)

長女らしい人、妹思いの人、もしかしてすこしずるい人、希望を捨てない人


ジェイ(浅利陽介)・アーティー(入江甚儀)兄弟

強く生きる真っ最の兄弟、母を亡くして寂しい兄弟、父(エディ)とやがて男同士になる兄弟、

その年、カーニッツおばあちゃんと共に暮らす兄弟



これが物語の設定と、舞台を観て感じた登場人物たちのイメージ。

本当はこんな人なのでは?という想像もある。


カーニッツおばあちゃんにヨンカーズという街で厳しく育てられた息子や娘たちは、

皆、少し変わり者だ。

母との距離感をいつもはかりながら、でも決してそれらを手放しはしない強さも持っている。


草笛さん演じるミセス・カーニッツが、物語の終わり近くで、娘・ペラに対して見せる仕草が印象的だった。

彼女の手によるほんの少しの動きが、こんなにも多くを語るなんて。



祖母や祖父と言葉を交わしたりする機会があまりなかった私には、

実はおばあちゃん像というものが具体的にはない。

怖いもやさしいもほとんどない。


カーニッツおばあちゃんみたいな人が近くにいたら、

私はその人とどんな風に時を過ごすだろう?


草笛さん演じるミセス・カーニッツのあの手の動きを思い出しながら、

ただ想像してみている。



観劇ブログ『拝啓、ステージの神様』-ロスト
イラストレーター 下田昌克さん という方のイラストが、とてもあたたかくてかわいらしい。

パンフレットの18~21ページのストーリーのページの文章とイラストを見ると

この舞台が鮮明によみがえる。



<公演日程>

2013年10月5日(土)~11月3日(日)

PARCO劇場


2013年11月12日(火)~11月14日(木)

キャナルシティ劇場


2013年11月16日(土)~11月17日(日)

多賀城市民会館 大ホール


2013年11月19日(火)~11月26日(火)

森ノ宮ピロティホール


2013年11月29日(金)~11月30日(土)

名古屋文理大学文化フォーラム


2013年12月3日(火)~12月8日(日)

KAAT神奈川芸術劇場