今日の1枚のアート(←勝手に名付けた)
日高理恵子(1958ー)さんの
《樹を見上げて Ⅶ》
東京国立近代美術館の常設展に展示してありました
大きな横長の画面に、葉のすべて落ちた樹木が広がっています
タイトル《樹を見上げて Ⅶ》からわかるのは
樹木を見ている自分の不安定な気持ちを
大きく絡み合った樹木の姿と、何も描いていない空に託したような気がしました
雲も鳥も、光の明るさも何もない空
不思議な世界に迷い込んだような気がします
でもそれだけでなく、画面からは清潔感と、上質な気高さもどこか感じました
■日高理恵子さん
1958年 東京都生まれ
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了
ドイツへ文化庁の在外研究員として留学経験のある作家さん
▼部分
その清潔感は、多分細部まできちんと描きこんであるその画面からくるものかと
キャプションによると、ご自宅の近くの神社で何度もドローイングを重ね
4度の冬を越えてこの作品を作り上げたそうです
■見る角度を変えて
色々な角度から作品を見てみると
どの角度でも画面として成立しているような気がしました
▼向かって左 壁際から
▼左45度
▼正面
▼右45度
▼右の壁際から
なんとなくどこから見ても、それぞれちがう画面でありながら
同じ不安定な気持ちが伝わる気がします
それは作者の腕の確かさなのかもしれませんね
この大きな画面の、清潔感からくる印象はとてもインパクトがあって
ずっと心の底に残っている作品です
最後までお付き合いいただきありがとうございました