六本木ヒルズの森美術館で開催中の
私たちのエコロジー 地球という惑星を生きるために
を見にいって来ました。
会期は来月の3月31 日(日)までです。
■会場入り口
■フライヤー
地球環境に向かい合った展覧会。
例えば、作品展示のパネルなども、作品の展示に関係ないところは、まるで工事現場のパネルのよう地の部分が剥き出しになっていたりしています。
輸送も最小限にしているとのこと、アートは地球環境とどのように向かい合っていけるか?
というこの一端を見せてくれます。
■作品紹介
●ニナ・カネル 《マッスル・メモリー(5トン)》
▼部分
北海道産のホタテの貝殻が展示会場に敷き詰められています。
私たちも、この中に入って移動。すると当然、踏んだ貝殻は割れてしまいます。
実は、その行為自体が目的の作品なのです。
ホタテの貝殻は建築材料等に再利用できるそうなのですが、その過程で貝殻の洗浄等に重油を使用するため、多くのエネルギーが必要なのだそうです。
資源の再利用のために、また多くのエネルギーが必要となる、矛盾の塊ですね。
そんなわけで、このホタテ貝の上を歩いて、わずかですが貝殻を潰すことで、この再利用の作業工程に参加し、エコロジーの輪の一員になるという作品。この貝殻は建材となる予定だそうです。
現在のエコロジーの持つ、ある矛盾を教えてくれる作品ですね。
●殿敷侃 《山口 ー日本海ー 二位ノ浜 お好み焼き》
この作家は第二次世界大戦の広島原爆で被爆し、原爆症に苦しみ50歳の時になくなりました。
これは山口県に流れ着いたゴミを大きな穴に入れた燃やした後の塊だそうです。
1987年の製作。
まるで大きな惨劇の後のよう。プラスチックなどの塊で、現代の都市が燃えてしまうとこんなものが残るのでしょうね。そんなことを想像させてしまう作品。
戦いや、災害はいたるところで起きています。それを約35年ほど前に見せてくれていますが、いまでも社会は同じことを繰り返している様ですね。
●谷口雅邦 《発芽する?プリーズ!》
▼部分
華道に属している作家さん。
でも生け花というより、土と植物の根の塊。
植物の土の中にある生命の力を表している作品ですね。
綺麗に咲き誇る花、その花の実は生命線の、目に触れることのない地下の根の部分を取り出したもの、これが本当の花だと作家は言っている様ですね。
土の匂いがする様で、田舎育ちの私には見慣れたものですが、、
これほど大きいとインパクトありですね。
●モニラ・アルカディリ 《恨み言》
5つの大きな珠が空間に浮かんでいる作品。
その下に行くと、何やら声が聞こえます。
それが、真珠の恨み言。
ペルシャ湾岸地方は、古くから天然の真珠の産地として栄えたそうですが、日本の養殖真珠によって衰退に追い込まれました。
ところが、石油の産地として大復活。
そんな石油や真珠をテーマにした作品を多く作っている作家さんです。
人間の都合で、自分の中に異物を入れられ、数年後に解体されるアコヤ貝。
その恨みを語っているそうでが、何を言っているかは聞き取れないのでした。
そこがもっと不安を掻き立てられます。
いつか自然から人間は復讐されるかもしれませんね。
●西條茜 《果樹園》
作品には触れませんが、複数の人が息を吹き込むことで音が出るそうです。
複数の人というのが、キモ。
他の人との共同作業にる、音の共鳴。
2人でギターを弾く様なものですね。
他にも撮影禁止でしたが、六本木ヒルズ周辺に自生している薬草を集めた展示の、
ジェフ・ゲイスの《薬草のグリッド六本木》はみんなに見せてあげたいなって思いました。
植物の生命力は、六本木という土地が持つ、人間の繁栄や虚勢やマネーの力などには全く影響を受けないことに気がつかされます。
そして人類が自分たち人類のことしか考えないことも、、、
地球を人に例えると、人類の存在は、「そんな奴いたな」程度のことでしょうけれどもね。
そう考えると、地球のためというのは間違いで、人類のためが正しいですね。
遠い未来には太陽が大きくなり、地球を飲み込んでしまうそうですが、、、
地球と自然の生命力を感じた展覧会。会期は3月31日(日)までです。