特別展 本阿弥光悦の大宇宙 @東京国立博物館・上野 | akki-artのブログ

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東京国立博物館で開催中の、

 

 

「本阿弥光悦の大宇宙」展へ行ってきました。

 

 

 

サブタイトルが、

 

「始めようか、天才観測」

 

「光悦の大世界」ではなく、「光悦の大宇宙」。

 

 

 

大きいですね、スケールが。

 

 

 

 

安土桃山時代から、江戸初期にかけてのマルチアーティストの本阿弥光悦。

 

 

彼の仕事をたどるおっきな展覧会です。

 

 

 

でもどうして、「宇宙」なのでしょうね。

 

 

 

■フライヤー

 

 

国宝の《舟橋蒔絵硯箱》が採用されています。

 

 

色々なジャンルで、多くの作品を残している光悦、その中で一番有名な作品。

 

 

展覧会場でも、一番最初に置いてありました。

 

 

 

■会場入り口 バナー

 

 

 

 

■本阿弥光悦(1558ー1637)とは

 

戦国時代末期に、刀剣の鑑定や研磨などに携わる京都の本阿弥家に生まれます。

 

美に囲まれた環境の中で育った彼は、そのマルチなタレントを発揮。

 

刀剣の目利きだけでなく、書や蒔絵、陶芸など幅広いジャンルで、数多くの作品を生み出します。

 

特に書の部分では能書家として知られていたようです。

 

 

数多くの国宝、重要文化財を残していて、現在でも評価されている「アーティスト」ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

会場内は撮影禁止なので、作品画像はフライヤーからとってあります。

 

 

尚、僕的には会場の中ほどに光悦のいくつかの作品を紹介した映像が流れていて、それを見てからこの展覧会をめぐるのもありかなって思ってます。

 

 

作品が繊細なので、細かいところを映像で見せてくれて、見どころがとてもわかりやすくなりました。

 

 

とても推しですね。

 

 

 

■作品紹介

 

●国宝 《舟橋蒔絵硯箱》江戸時代 17世紀

 

 

 

面白い形をした硯箱。

一度見たら忘れられませんよね。

 

川の流れと船が描かれている地の部分の繊細さはスゴッ。

近くで見ないとわからないけれども、鉛でできた黒い橋がぶっきらぼうに張り付いています。まさに張り付いているのです。

 

 

 

 

そして草書で源融の後撰和歌集の歌が

 

東路のさのゝ(舟橋)かけて濃ミ思(ひ)わたるを知(る)人ぞなき”

 

 

と文字が作品の表面に散りばめられています。()の部分の文字はないのですが、、、、

 

 

 

この和歌のポイント、「舟橋」が文字にないのがポイント。

 

 

 

表現されていない「舟橋」がその鉛の鉄の部分で表されている趣向です。

 

 

わかる人だけわかればいい、というものですね。

 

 

 

 

●重要文化財 本阿弥光悦筆 俵屋宗達下絵

《鶴下絵三十六歌仙和歌絵巻》 江戸時代 17世紀

 

 

 

 

 

今回の目玉作品。

 

全巻が一挙公開されいて、部屋を縦断して展示してあります。

 

 

 

下絵が琳派の祖、俵屋宗達。鶴がデザインテックに描かれていて、その自由さは現代美術のようです。

 

 

それに加えて、流れるように書かれている光悦の文字。

 

 

よく見ると、文字の散らし方にも法則があるように思われます。

 

 

それから、文字の太いところと、細いところの差。

 

 

細いところの文字の流れは本当に美しいですよ。

 

 

 

 

 

最後の方に、レイアウト的にうまく全部はまらないようなところがあって、細かい文字がぎっしりと書いてあるところがあります。

 

 

そこの文字も綺麗なのですね。

 

 

やっぱり光悦。

 

 

 

 

 

●重要文化財《黒楽茶碗 銘時雨》 本阿弥光悦作 江戸時代・17世紀

 

 

 

この展覧会では、この茶碗の展示が圧巻でした。

 

光が落ちた会場で、一点づつケースにおかれて、下には輝く黒い物が敷かれていて、茶碗が中に浮かんでイルカのように、見えました。これまでの茶碗の展示と違っていましたね。

 

 

僕的には、重要文化財《黒楽茶碗 銘時雨》この画像の作品。

 

 

それから《黒楽茶碗 銘村雲》。重要文化財《黒楽茶碗 銘雨雲》。

 

 

 

この3点が陶芸会場の一番奥に並んで展示されているところがすごかったですね。

 

 

それからこの茶碗の展示の最初においてあった、重要文化財《赤楽茶碗 乙御前》。その赤い光沢のある姿は目に焼き付いていますね。

 

 

光悦は楽茶碗を作っているようで、すると轆轤は使わないのですね。

 

 

どうも茶陶で有名な、京都の楽家と光悦はつながりがあるようで、釉薬や土をもらっていたようです。

 

 

 

実は国宝の《白楽茶碗 銘不二山》サンリツ美術館蔵、があるといいなって思っていたのですが、、、

 

 

なかったので、やっぱり長野県、諏訪市のサンリツ美術館に行かなければならないですね。

 

 

この《白楽茶碗 銘不二山》は共箱もいいんですよね、実際にあったら必見です。

 

 

■謡曲本と寺の額

 

画像はありませんが、

 

謡曲の本がずらりと並んでいるところがあります。

 

光悦本とか嵯峨本とか呼ばれている見事な能の本。

 

 

それから、千葉中山の法華経寺や東京池上の本門寺の扁額があるのはビックリ。

 

 

日蓮ゆかりの東京の寺、光悦は江戸にもきたことがあるらしいですね。

 

 

その光悦の京都の法華経衆とのつながりもこの展覧会の一つのテーマです。

 

 

 

 

 

色々たくさんの作品を残している光悦さんですが、、、

 

紹介した《黒楽茶碗 銘時雨》のアップで撮られた写真が引き伸ばされて、会場に飾ってありました。

 

それを見るとまさに夜空に輝く、無数の星のよう。

 

 

展覧会のタイトルが、

 

「本阿弥光悦の大宇宙」。

 

 

キャッチコピーが

 

「始めよう、天才観測」。

 

 

 

というのも納得の展覧会。

 

 

きっと、私、また行くと思います。

 

 

茶碗の観賞が、夜空の天体観測ではなく、器の天才観測というわけですね。