お父さん、私はしっかりやってます。 -35ページ目

娘あっこから父ひろしへの手紙 19通目

お父さんへ


5月29日~6月1日までの北海道旅行で、手紙が途切れました。

ずっと一緒だったから。


帰ってから私は原稿をたくさん仕上げねばならず、てんやわんやでした。

今日入稿したら、明日から時間ができそうです。


北海道の旅を綴りたいと思っています。


今日も話せてうれしかった。

娘あっこから父ひろしへの手紙 18通目

お父さんへ


昨日は、「お父さん、このままご飯が食べられなくなっちゃうのかな。

どうしよう、高カロリーの点滴を家で出来るようにしてもらった方がいいのかな」

なんて、実は考えていました。


でも、今日はお昼に、おにぎりを2個食べたとお母さんに聞いて

ホッと胸をなでおろしたんだよ。


だって、肩にポート付けるの痛そうだから可哀想だもん。


「明日から北海道だよ」って言ったら、「えらいかもしれんな」って。

きっと、体がだるいんだね。


でも、景色と空気が変われば、病気も忘れていられるよ。

前、お友達と田舎に行った時もそうだったでしょ。


明日から、日曜まで楽しく行ってこようね。


今日も、居てくれてありがとう。



娘あっこから父ひろしへの手紙 17通目

お父さんへ


帰宅するといつものテレビの前に居ないで、

ベッドに横になってたね。

私が「ただいま、今日はどうだった?」と尋ねると

「食べられなくなってきた」と落ち込んでいるのが分かりました。


「食べたくないの?食べられないの?」と聞くと、

「つかえるんだよ。腫瘍がおおきくなってるんだろう」って。


きっとそうだろうね。硬くなって、胃自体の動きも悪くなってるだろうし。

ご飯、分けて食べるようにしようよ。


でも、昨日出来たことができなくなることって、怖いよね。

何もかも奪われていく気がするから。

私も、リウマチの症状が酷かった時は、そうだったからとっても分かるよ。

お父さんの死への恐怖とは比べ物にならないと思うけど。


お父さん、辛さは一緒に味わうから、

できる限り一緒にいようね。


帰り道、紫陽花が咲き始めていました。
色っぽい紫陽花


あと、交差点の植え込みにひまわりが植えられていました。


ひまわりの芽

このひまわりの花が咲くの、一緒に見ようね。


今日も頑張ってくれて、ありがとう。




娘あっこから父ひろしへの手紙 16通目

お父さんへ


ビックリしました!

日帰りで奈良の天理に行ったんだって。


もう朝には行くって決めてたらしいけど、

私が反対すると分かっていたから黙ってたんでしょ。


しかし、よかった無事に帰ってきて。

今日は、運転で神経使ったでしょ。

ゆっくり休んでね。


別に天理教の信者になった訳じゃないけど、

どこか、すがる所が欲しいんだよね。


今お父さんが求めているのは、

「気持ちの安らぎ」

それは、人間世界の外に求めるしかないのかな。


私たち家族が差し出すことはできないのかなぁ。


今日も生きていてくれて、ありがとう。


娘あっこから父ひろしへの手紙 15通目

お父さんへ


今日は、ランチに出ようと思っていたのに、

私がとにかく眠くて、夕方までグタグタしちゃいました。


でも、夕方いなば神社までの散歩に一緒に行けて、よかった。

私がデジカメを持って出たから、2人で写真を取り合って楽しかったな~。


やっぱり、映像を仕事にしていたお父さんだから、

構図や光と影の使い方が分かっているんだなと関心しました。

これから、毎週デジカメ講座をやってもらおうかな。


【お父さんの作品】


衣装をまとう狛犬

連れ合いと娘の影
休日の寂しい時間 

道路の迷路

しかし、デジカメ渡す時に、お父さんの手が冷たくて

悲しかった。冷え性の私でさえ、ポカポカしてるのに。


途中、夕飯にお好み焼き屋に入ったけど、

うーん、運悪く閉店間際だったから、

お父さん急いで食べてて、胃が心配でした。


あーゆうのは、入る前に確かめなきゃね。

ごめんね、無理させちゃって。気を付ける。


今日も、頑張ってくれてありがとう。

娘あっこから父ひろしへの手紙 14通目

お父さんへ


今日は、ホスピスに初めて行きましたね。

お母さんから、いい先生そうだと聞いて、安心しました。


でも、できれば最期は家で迎えられるといいなと思います。

自分のベッドで、見慣れた部屋で。

報道カメラマンの宿命だけど、お父さんはこの間まで

24時間仕事状態で、家でゆっくりできなかったから、そう思います。


お母さんは看取るのが怖いのか、不安なのか「無理でしょ」と言うけれど、

私は、仕事を休んでもいいので、そうしてあげたいと思っています。

これからの状態にもよるから、分からないけれど。


しっかり話し合う時が必要かもしれません。


私は、今日は大安!ということで、

会社帰りにドリームジャンボを買いました。



         「超ツキ売場」の1番で買った


今年の宝くじは、必ず3000円が当たっているので、

期待していてね。


今日も、頑張ってくれてありがとう

娘あっこから父ひろしへの手紙 13通目

お父さんへ


今日、一番インパクトのあった出来事は、

朝の名駅で、ハワイの衣装ムームーを着て

即興の歌を歌っているおばさまを見たことです。


少し聞いたところでは、どうもホームレスの人の生活を

ハワイアンメロディーに乗せて歌っているようでした。

(その横で、ホームレスの人が『ビッグイシュー』を売っていたので)


わたしが、「おばちゃん」と言わないで、「おばさま」と言うのは、

やっていることは、大胆でとんちんかんなのに、

なぜか佇まいに品があって、キレイな声で、知的な歌詞だったからです。

あっ、ただヤケクソになったおばさまではないな、と感じとりました。


マイクや小道具があったから、たぶん芸人さんだと思うけど、

あーいう自己表現、「かっちょいいな」と思いました。


お父さんにも、見せてあげたかったです。


今日は、散歩に行けなかったらしいですね。

ちょっぴり心配です。


明日は仕事なので、ランチに行ったりできないけど、

なるべく土曜に仕事を終わらせて、

日曜のお昼は一緒にごはんを食べに行こうと思っています。


今日も、闘ってくれてありがとう。




娘あっこから父ひろしへの手紙 12通目

お父さんへ


今日は、お昼に散歩をしたんだって、

暑かったでしょ。27度あったからね。


ガンが重症だと分かって、

40年近くやっていた報道カメラマンをあっけなく退職してしまったから、

会社で以前関わった人たちが、お父さんに会うための会を開こうって

言っているんだって。


お父さんは、そんなのに出たら、

もう死ななきゃいけない気分になるから、ってノリ気ではないのね。


私は、お父さんの立場じゃないから分からないんだけど、

会社の人たちは、会わないままだと後悔するから

お父さんのためじゃなく、自分たちのためにやるんだと思う。


でも、それは、みんな何かできないかって考えてくれた結果だと思うのね。

本当は、何かしたい、でもできない。

だったら集まって、昔の話をするかって。


会社の人の気持ちはよく分かる。

私も今、半分はお父さん、半分は自分のために看病しているから。

だって、後悔したくないんだもん。

「あのとき、もっと優しくしてあげればよかった」なんて。


もちろん、お父さんが負担になるようなことはしないけど、

それは、毎日様子を見ているから出来ることで、

状態を知らない人は、とっても気を使いながら、

でもピントが外れていたり、無理なことを言うのは仕方ないよ。


そうして、気に掛けてくれる人がいて、よかったって思おう。

そして、ちょっとだけでいいから顔を出してあげると喜ぶと思うよ。


今日も話せてよかった。




娘あっこから父ひろしへの手紙 11通目

お父さんへ


5月29日~6月1日の北海道旅行が決定したね。


今回の旅行で、

お父さんは、家族ゴルフをしたいんだって。

初めてだよね、みんなでまわるのなんて。


リウマチの私は留守番だけど、

楽しくまわれるといいなと思っています。


「足腰を鍛えとかないと、ゴルフはできない」って、

今日は早朝散歩に出かけてたね。

よかった、元気が出てきて。


旅行で気分が良くなるなら、

来月は、九州旅行を企画しようかな~。


今日も、元気な姿を見せてくれて、ありがとう。

娘あっこから父ひろしへの手紙 10通目

お父さんへ


私の朝の通勤は、改札からJR高島屋の間を抜けます。

そこに、浴衣のバックに金魚を泳がせている

夏先取りのディスプレイがあります。
高島屋

夏のディスプレイ


あと、帰り道に紫陽花が咲いていました。
紫陽花はじめ

季節のディスプレイを気にしたり、花が咲くのを気にしたり…

こんなに時間の流れをかみしめたことって、初めてです。

毎日が濃い気がします。


これは、お父さんが気付かせてくれたこと。


今日も一日、いてくれてありがとう。