秋のカジュアルパーカー買いたくてショップに立ち寄る。
スタッフがとっても良い人で、いちいち、あーでも、こーでもとこちらが言うことを付き合ってくれて、
お勧めはしてくるのだが、ちょっと首を傾げると、
それ以上推さず、「何かございましたらお声掛けてくださいね」と、艶やかな髪をお団子にした後ろ姿で、テキパキとどこかへ去っていく。
色々、助けてくれて、結局ユニセックスのグレーのパーカー買ったのだけど、
包む手元が綺麗で、嬉しそうで、右手の薬指に細い指輪がキラリと光った。
「恋人がいるのですか?」と思わず聞くと「はい」と笑った。
「セクハラでごめんなさい。急に聞きたくなったから。」と言ったら、
「いいえ」とまた同じ笑顔が幸せそうだった。
三日月がかすかに滲む空。
少し湿度があるのかも?
風は強めだけど心地よい。
息を吸い込んだ。
気候変動、災害、疫病、戦争と滅入ることばかりだけど、今夜の彼女の幸せな笑顔と、心地よい風を忘れないで置こうと決めた。
家に帰って、頂いた果林で作った果林蜂蜜漬けの瓶を、ひっくり返した。
実が空気に触れると発酵して蓋が飛ぶのだそうだ。
と言っても、すぐに浮いてくる。
蜂蜜が染み込んで重みが出るまで、気をつけなければならないらしい。
果林の蜂蜜漬け、、喉が痛い時、お湯で割って飲むと瞬く間に痛みと腫れが引いていく。
素晴らしい薬効だ。
秋は実りの季節。
やがて来る冬に備えて、リスのように動いている。