たとえばアニメ映画の冒頭で
ミーンミンミンミンミンというセミの鳴き声が入っていて
青空に入道雲、遠くの道路には蜃気楼がゆらゆらしていて
人物がうちわをパタパタしたり ハンカチで汗を拭いたりしている
とする。

「うだるような暑い日だった」とナレーションがなくても、とにかく暑いことがその映像で分かる。



そこで「暑い日だった」とナレーションを入れない、言葉ではないところで何が伝わっているかを見つけるのが楽しい。




カメラのアングルと光の加減で希望や元気を表現することができたり。



蕾や芽にはこれから展開する物事の可能性や予感を感じることができたり。







たとえば、少女の心に恋が芽生えたときに 芽をチラリと映して


好きな人とちょっとうれしいことがあって気持ちが高揚しているときに 元気に咲いたヒマワリが映る。


「ようし、告白しよう」と少女が決心したあとに、こんなヒマワリが映ると


告白してフラれた場面を描かなくても ヒマワリのうなだれ方からそれが分かる。


直後に雨の絵が入ると、少女の泣き顔が映らなくても 心の中の土砂降りが分かる。



フラれて大泣きしている場面を描くよりも、うまくすれば 見る人はグッと少女の心模様に惹きつけられるかもしれない。




分かりやすくセリフで表現してしまわないことで、そんな味わいが出る。

そういう描き方を見るのが好きだ。

もっとも、私がその表現の情報を拾えていないことはとても多いのだけどね…!




言葉じゃない言葉を見つけるのが楽しい。

「言わなきゃ分からない」という話もあるけれど、「実は違う言語で言っていた」ということが この世界にはたくさんあるみたいだ。

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ホロスコープの星たちも、日本語では喋らないけれど たくさんのことを物語る。
たくさんすぎて私は困っている(笑)
先日の折口信夫氏の得意とした言葉・思考経路のことを思い出して、メタファーについて調べたら、こんな文言を見つけた。

「もっとも偉大なのはメタファーの達人である。通常の言葉は既に知っていることしか伝えない。我々が新鮮な何かを得るとすれば、メタファーによってである」
(Wikipediaの「メタファー」のページより)

アリストテレスの言葉だそうだ。




2022年9月に書いたおはなしでした!

こんなことを考えて、毎日16時に過去記事を紹介しています。
読んでくれてありがとう!