ゴーン氏の変装は失敗だった? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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今回のゴーン日産前会長の保釈劇は、万年ネタ不足のマスコミにとって絶好のコンテンツとなった。カミソリの異名を持つ弁護士の登場、カメラの設置などの異例の保釈条件だけでもワイドショーの時間つぶしに大いに貢献したに違いない。

そして、ハイライトは、NHKまでが現場中継をした拘置所から出所する場面だった。
「中継までして騒ぐとはけしからん」との思いながら好奇心に負けて画面を見ていたら、一目でゴーン氏だと分かる「変装姿」が目に飛び込んできた。

大勢の制服姿の大男に囲まれて一人だけ目立つ制服を着た小柄な男性は目立つし、あの鋭い目元を見れば誰でもゴーン氏だと分かる。あれは目立たなくするのが基本の「変装」ではなく、目立ちたがりやの「コスプレ」と言ったほうが当たっている。

あまりにわざとらしい変装だったので、最初はこれにはカミソリ弁護士の深慮遠謀があるのかと思った。というのは、彼が欧米の経営者の中でも異色といっていいキャリアの持ち主だからだ。過去のエントリで次のように紹介したことがある


日産の社長兼CEOでルノーの会長兼CEOでもあるカルロス・ゴーン氏は震災まもない3月29日に被災したいわき工場に駆けつけ、「私はいわきを見捨てない」と宣言して従業員を勇気付けた。現場はこれに応えて僅か一ヵ月半で生産再開を成し遂げ、テレビなどでも話題になった。

日産建て直しにルノーから乗り込んできたときマスコミは彼を「コストカッター」と呼んだが、実際に大幅なリストラを実施して多くの従業員が整理された。そういう冷徹ともいえる合理性は彼の一面だが、現場に出向いての激励という欧米の経営者では考えられない行動をとるところこそ、彼の真骨頂ではないかと思う。

欧米の経営者の中で彼が異色なのは、そのキャリアにある。フランス最高峰の国立理工系学校エコール・ポリテクニークを卒業してミシュラングループの誘いを受けるが、実践的なことを学びたいと思っていた彼はなんと製造分野を希望し、3交代の製造現場でキャリアのスタートを切る。

ここで、仕事中に喫煙をする先輩に見張りを命ぜれたりしながら、機械の使い方、現場の人々のこと、管理の仕方などを学ぶ。そして、現場の人々がより高度な仕事に就けるように知識や教育を渇望していることを知ったり、生産現場とマネジメント側のギャップが沈滞した労働環境を作っているという問題点にも気づく。

彼はこの工場でキャリアを重ね、若き工場長として実績を残した後、研究開発をはじめとして様々な仕事を経験し、ヘッドハンティングでルノーへ移籍し日本に来ることになった。このように最初の3年間を製造の現場で3交代の工員から工場長まで経験したことは、彼の実業家としての原点となった。

(これもグローバル化?現場を忘れた日本の大企業経営者 2012-04-19)
https://ameblo.jp/akiran1969/entry-11227261890.html?frm=theme


ゴーン氏のキャリアはブルーのユニフォームを着る3交代制製造現場からスタートしたのである。そして、いわき工場に駆け付けた時ももちろん作業着を着ていた。
だから、自分の原点に戻るつもりで弁護士と相談の上、あの格好をしたと思ったのである。

しかし、それは深読みしすぎだったようだ。
弁護士団の一人が「あれは私が計画して実行したものだと明かしたうえで、ゴーン氏をはじめ多くの人に迷惑をかけたと謝罪している。


高野隆2019年03月08日 07:32
昨日の騒動について
カルロス・ゴーン氏の釈放に際して行われた「変装劇」はすべて私が計画して実行したものです。

依頼人を理不尽な身柄拘束から解放し、正常な社会生活に復帰させて、来るべき刑事裁判の準備に主体的に取り組む機会を与えることは、公正な裁判の実現にとって不可欠なことです。それは刑事弁護人が全力で取り組むべき課題でもあります。

何とかゴーン氏の保釈決定を確定させることができましたが、それには厳しい遵守事項がたくさんあります。一つでも履行できなければ保釈は取り消され、彼は再びあの過酷な拘禁生活に舞い戻ることになります。多額の保釈金を没収されることにもなります。保釈決定を受けた弁護人の最初の課題は、釈放後速やかにかつ安全に依頼人を「制限住居」に届けることです。彼にそこで家族とともに社会生活を再建してもらわなければなりません。

ゴーン氏が素顔をさらして住居に向かったとすれば、間違いなく膨大な数のカメラがバイクやハイヤーやヘリコプターに乗って彼を追いかけたでしょう。彼の小さな住居は全世界に知れ渡ります。生活を取り戻すどころか、健康すら損なわれてしまうでしょう。彼だけではありません。彼の家族、そして近隣住民の生活すら脅かされてしまいます。そのような事態は絶対に避けなければなりません。

その方法として、私の頭に閃いたのが昨日の方法でした。それは失敗しました。しかし、その後に奇跡が起こり、どうにかゴーン氏とその家族は「制限住居」において自由人として再会することができました。しかし、私の未熟な計画のために彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗る結果となってしまいました。

また、今回私の計画に進んで協力してくれた私の友人たちに大きな迷惑をかけてしまいました。私はたくさんの人に有形無形の損害を与えてしまいました。とても申し訳なく思っています。

最後にマスコミの皆さんにお願いします。どんな著名人にも身近な人と心安らぐ場所が必要です。心おきなく疲れをいやす場所が必要です。どのような庶民にも生活の糧を得るために安全に働く権利があります。この当たり前のことをご理解ください

https://blogos.com/article/362645/


NHKニュースがトップで取り上げるほどの加熱報道が変装を思いつかせたというのである。そして、ゴーン氏特有の鋭い目つきを考慮しない変装は失敗に終わった。

ただ、このあまりにも稚拙な「変装劇」が、むしろいい結果につながった可能性がある。

その後、NHKでゴーン氏が家族といる滞在先から外出する映像が流れたが、所在地が特定されないようにボカシが入っていた。変装は即座に見破られたから、弁護団が危惧したとおりに膨大な数のカメラがバイクやハイヤーやヘリコプターに乗って彼を追いかけたはずだ。

しかし、その場面は映像としては流れなかった。
ゴーン氏の姿と異常な過熱報道を見た視聴者から同情の声が数多く寄せられ、マスコミが自主規制したのかもしれない。

いくらカミソリ弁護士団でも、そこまで狙ってわざとらしい変装劇を仕掛けたとは思わないが、上記の文章からも弁護団が少なくとも結果オーライだと考えていることが分かる。

さて、上記でご紹介したように、有能な経営者としての彼を高く評価してきたから、現在のような事態は実に残念だ。強いリーダーシップで日産を立て直したが、その強い権限を長く独り占めしたことで公私の境目を見えなくなってしまったのだろうか。

裁判の行方は素人には予測もつかない。
ただ、作業着姿でキャリアをスタートさせたゴーン氏が、あのような形でブルーのユニフォーム姿を見せることになり、残念としか言いようがない。

(以上)
 

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