財政再建と経済成長 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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安倍政権が掲げている「財政再建」の具体的目標は基礎的財政収支(プライマリー・バランス)を2015年度には半減(2010年度比)し、2020年度には黒字化することだ。では、その基礎的財政収支とはどんなものか、財務省によると次のようになっている。

基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっています。

これでもまだ分かりにくいので具体例で説明すると、今年度(平成26年度)の一般会計の予算は96兆円となっているが、歳出のうち23兆円は国債費である。この国債費をさし引いた73兆円を新たな国債(国の借金)を発行せずにまかなえる状態が基礎的財政収支(以下P.B)ゼロである。

しかし、景気というものはどうしても循環性があり、景気が後退して税収が落ちているときでもP.Bの黒字をずっと維持しようとすればどうしても緊縮財政とならざるを得ない。P.Bというのは毎年度の収支の問題だから、一度達成したから終わりではなく継続を求められることになる。

これを毎年続けていけば確かに政府の負債は減ってゆくかもしれないが、緊縮財政では金融政策も効きにくいし成長戦略の予算まで削ることになりかねない。増え続ける社会保障費を賄うためには経済を成長させて税収を伸ばさなければならないのに、その源である名目GDPが縮んではかえって財政悪化を招く。

おそらくそういう観点から出てきたのが、先日のエントリでも紹介した経済財政諮問会議での安倍総理の次の発言である。甘利大臣の記者会見から再掲する。

「2020年PB黒字化という財政健全化目標に、安倍政権はコミットしているが、この目標はGDPの伸びとの関係が考慮されないので、この指標を勘案するだけでよいのか。本日の民間議員の提案にあったように、ストック面の指標、累積債務残高の対GDP比投入された資源がしっかりストックに結実しているかなど、財政状況を複合的に見ていく必要があるものと考える。」
(第20回経済財政諮問会議 甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨)より

関連エントリ『いよいよ埋蔵金にメスが入る?

安倍総理が触れた『累積債務残高の対GDP比』とはいわゆる国の借金とGDPの比率で、現在は250%に迫るところまで来ている。「投入された資源」云々は、借金から資産を引いた『純債務』を考慮しようということで、『純債務の対GDP比』なら日本は他国より突出することはなくなる。

安倍総理はP.B目標を2020年度までに達成するのは自民党がずっと掲げてきた公約だから降ろさないものの、経済成長により税収を増やすという自論に沿った財政再建の目標を設定するべきと考えているのではないか。それを選挙前に言い出すと国民が混乱するので、いま言い出した。

『純債務の対GDP比』を財政再建の目標にすれば、新規の国債を発行してもGDPがそれ以上に増えればいいということになし、GDPが増えれば必然的に税収も増える。まさに経済成長と財政再建を同時に達成できるのである。

財政再建の目的は、毎年の収支を赤字から黒字にすることではなく、増え続ける社会保障などがまかなえる持続可能な財政状態にすることだ。そのためには毎年の収支(フロー)より、資産(ストック)の状態を重視するべきで、安倍総理はそういう方向性を示したのだろう。

しかし、新聞は紙面のスペースの関係もあるし、そもそも財務省の意向が強く働くから安倍総理の発言などが正しく報じられているかどうか怪しい。毎日新聞の次の記事も、安倍総理がはっきりと『累積債務残高の対GDP比』と言っているのに、それが抜けている。


基礎的財政収支:安倍首相「複合的に検証を」
 安倍晋三首相は22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を2020年度までに黒字化するとの政府目標について「(財政再建にあたって)この指標を勘案するだけでよいのか。複合的に見ていく必要がある」と述べ、別の目安も参考にすべきだとの認識を示した。
 新たな目安について首相は詳細を示さなかったが、諮問会議では民間議員から「財政健全化では(国の借金残高から資産を引いた)純債務などを考慮に入れた議論が必要」との指摘もあった。国・地方の借金残高の対国内総生産(GDP)比は200%を超えているが、純債務ベースで計算すると大幅に下がることになる。

そして、以前はマスコミ報道を信じず1次情報の活用をするべきと読者に説いてきたこの経済評論家氏は、上記の毎日新聞記事を引用して次のように述べている。

いや、別に政府の純債務を見ることに反対しませんが、本質的な問題は、
財政の目標が、政府の負債対GDP比率を引き下げること
 になっていない点です。
(新世紀のビッグブラザーへ『プライマリーバランス黒字化目標の「罠」』)より


政府の負債対GDP比率』を採用するべきだとの意見には賛同するが、毎日新聞の記事だけを根拠にして官邸のホームページなどで安倍総理の発言を確かめなかったのはいただけない言ってもいないことを言ったことにして批判するのを『わら人形論法』と言うそうだが、これもその一種なのだろうか。

P.Bだけを財政再建の指標にすると景気変動に対応した柔軟な財政政策を阻害する恐れが強い。総選挙を経て政治的な基盤を固めた安倍総理は、そこも見直そうとしているのである。
それを歓迎し後押しすることが、自分の主張を実現することにつながると思うのだが。

(以上)

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