人生には上り坂、下り坂、しまいにゃあ「まさか!」が待っている。
埼玉のかおりんは27歳のとき、風邪をひいて熱を出した。
病院へいき、処方されたひと粒の薬が「まさか!」だった。
その薬はワクチンも作っている某海外メーカーのものだったが、当時のかおりんには知るよしもない。
腎臓や心臓や肺や手足の血管が流れなくなり、意識が何ヶ月も戻らない。
ずっと健康体だったかおりんは、一気に身体機能を失った!
医師は四肢を切断するしかないといったが、娘が産まれて1、2歳の頃だったので、なんとか残してもらえないかと懇願した。
それから30年以上が経ち、必死でリハビリに励んできたが、四肢に障がいは残っている。
しかし勇者かおりんは持ち前の好奇心と行動力で子育てをやり遂げ、AKIRAライブや合宿にも参加し、たくさんの人から慕われている。
かおりんからハロウィン肖像画のオーダーがきたとき、かおりんの人生と重なったのがメキシコを代表する女性画家フリーダ・カルロだ。
フリーダは6歳のころ急性灰白髄炎に罹り、右足の成長が止まって瘦せ細り、民族衣装のロングスカートを好んで着用していた。
さらに18歳のとき、通学していたバスが路面電車と衝突し、腹部に鉄棒が貫通して生死をさまよった。
一命は取り留めたものの、3カ月の寝たきりで、痛みと孤独に耐えるため自画像を描きはじめる。
当時国民的画家のディエゴ・リベラと結婚し、事故の影響で2人の子供を流産する。
さらにリベラが妹と不倫という、不幸に満ち満ちた人生だ。
その不幸を作品の原動力に変えたフリーダは、人々を感動させ、勇気と希望を与えている。
まさに不自由な体でどこでも出かけてゆき、満面の笑みを与えつづけるかおりんそのものではないか!
かおりんから送られてきたのは、自分の人生をスピーチするイベントのむっちゃおしゃれな写真だ。
髪型もいつもとちがうんで、「似てない」と言われないよう、何枚ものかおりん写真と見比べながら繊細に描写していく。
画面上部にはフリーダのコルセット姿(試練)を描く。
オレは「神の肉」にも書いたが、フリーダの大ファンなのでメキシコシティー郊外にあるフリーダの生家である美術館で、フリーダが実際に絵を描いたコルセットも見てきた。
時計回りにいくと、砂漠ネズミがキスを交わしている。
桃太郎ならぬメキシコ名産のアボカド太郎は、フリーダが2度流産した胎児(悲しみ)である。
かおりんの両肩にのっているオオハシインコ(光に向かう)もフリーダのモチーフだ。
右下にはフリーダが鹿になって矢にいられている絵。(不幸)
左下にはガイコツの仮面をかぶった少女(純粋性)がかおりんと同じ衣装で描かれ、ガイコツの両親(守護者)を描きそえた。
フリーダのスイカの絵には「VIVA LA VIDA」(人生バンザイ!)と書かれてる。
左上には棘だらけのサボテンにのぼるメキシコヤマネコ(勇者)が「あなたも試練を超えていきなさい」と、こちらを見つめている。
かおりんの頭には猿(自然)がよじのぼり、降りかかる試練に驚いている。
かおりんのひたいには、一生背負うことになる十字架が描かれ、不動の赤い第三の目と、自分の意志で十字架の空色がうすまっていくのを象徴している。
ハロウィンメイクを異例の世界一美しいモルフォ蝶にしたのは、「変容」のシンボルだから。
かおりんは理不尽な薬害「犠牲者」から、勇気と希望を与える「勇者」の道を自ら選んだ。
画面のまわりはメキシコの美しい花に囲まれている。(祝福)
こんな途轍もない勇者を描かせてもらうなんて、画家冥利に尽きるわあ。
どう、あなたが「平凡」だと思いこまされてる人生も、誰にもまねできない、あなただけしかできない、最高の人生なんだよ。
F15号(652×530mm)12万円。
※ハロウィン肖像画は10名で締め切られました。
タイ・サムイ島
1、のりちゃん(愛知)
2、アコ(北海道)
3、かおりん(埼玉)
スリランカ・ウナワトゥナ
4、お花ちゃん(大阪)
5、さつき(愛知)
6、アリス(東京)
7、アール(北海道)
8、りえ(北海道)
9、コジコジ(栃木)
10、かずよん(神戸)