「喫茶マキ」AKIRA+アイコ+Kaccoコラボ・ライブ | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

2月9日(土)「喫茶マキ」ライブ

太陽の村からめいっぱい元気をもらったオレは、新潟の繁華街古町モール6にある「喫茶マキ」にむかった。「喫茶マキ」は去年の3月にアイコちゃんとコラボしたチョー昭和の匂いがぷんぷんしたカフェじゃなく「喫茶」である。
ここのマスターがクールで熱いのよ。去年は「ずいぶん愛想のない人だなあ」と思っていたが、とんでもない気配りと思いやりに満ちた「変人」なのよ。
アイコちゃんはまたもやお母さん(アイコママ)を連れてきた。
アイコママはオレと同級生の48歳なのに、30代にしか見えない絶世の美女であり、独裁君主の夫「アイコパパ」との修羅場を娘のアイコとくぐってきた戦友でもある。
こうやって娘のライブにくる母親なんていないぜ。
アイコは自分とママのくぐった修羅場を誰にも真似できない包丁のような言葉でオレたちののど下に突きつける。ちょっとふれたらほほから血がタラっとたれそうなくらい、包丁の切っ先まで見切った言葉だ。
しかもほほに1ミリほど突き刺さった言葉が流す血はあたたかい。
アイコの存在そのものが、
「人を許す」
強迫神経症、自殺未遂、みんなと同じ悩み、アイコは丸裸で観客の前に立つ。
音程が微妙にずれ不安感をあおるが、アイコの「すべてを許す」オーラが会場を繊細なやさしさでつつんでいく.
新宿ロフトでやったコラボから、アイコはとてつもない成長を遂げていた。
社会的にマイナスな傷を自信をもってさらけだす。
母親にさえさらけだす。
みじめな生き様を創作に変える「覚悟」にオレはおぞけだった。
喫茶マキアイコアイコ+AKIRA.photo by YOKO

「今日のライブは伝説になる」
そう確信した。
アイコちゃんと月乃さんは何度もコラボしている。しかし今回のメインは女装詩人「Kacco」さんとのコラボだ。Kaccoさんはもと暴走族もやっていたし、もとひきこもりだったし、心の病を何度も潜り抜けてきたサバイバーだ。今は心に傷や病気をもった若者たちに表現の場を与える「Kボックス」を主催している。
ひとりの天才があらわれるのだって奇跡なのに、新潟には月乃さん、アイコちゃん、そしてKaccoさんという天才詩人が同時多発的に出現したのだ。
Kaccoさんは自作の詩「ごめんさんさい」にコラボするため、オレの「祈りの歌」を選んだ。
喫茶マキKaccoKacco.photo by YOKO

Kaccoの目にはねっ、ボンヤリと無機質な天井が見えているんだ
右腕には天敵の針!
「この世」と「あの世」を繋ぐ細いチューブが、一生懸命にKaccoのために液体を運んでくれている
ポツ、ポツ、ポツ……
止まっていた時を刻みはじめるかのように……
ポツ、ポツ、ポツ!
あ~ぁ、また、失敗しちゃった
なんなんだろう? なんともいえない、このむなしい気持ち!
死のうとして死ねなかったことへの後悔?
それとも、傷がまたひとつふえてしまったことへの罪悪感?
よくわからないけど……
こんなときにはねっ、いっも心の底からわきあがってくるの
もう何度も死のうとして……何度も何度も失敗して……そのたびに……
もうイヤだよ!
成功してたら、こんな気持ち味あわなくてもすむのに
こんなにも失敗ばっかりするのは……もしかしたら、100%死ぬことを望んでいないから?
心の中では99,9%の死を望む気持ちと、0,1%の失敗を望む気持ちが戦っているのかもしれない
それなら、いっつも失敗するのは0,1%のコイツのせい?
わからない……自分でもわからないよ!
だけどねっ、この世の中で生きていくためには0,1%をもっと大きく、もっと強く育てていかないといけないんだよね!(Kacco「ごめんさんさい」)

今夜君は苦しすぎるから
病院のベッド 点滴のバッグ
嗚咽噛み殺す
誰か気づいて わたしに気づいて
軽すぎる命 重すぎる運命
嘆きつづける

おお不幸なる者よ
おお幸いなるかな
ぼくたちは歌う 君に歌う
すでに君は守られてる

さあとどけ 祈りの歌
君の胸へと突き刺され
さあひびけ 祈りの歌
慈悲の涙で地を満たせ
(AKIRA「祈りの歌」)

オレの歌だけでも5分はかかるのに、朗読とコラボると1曲15分くらいの大作になる。お客さんはあきないかな? と思っていたが、まったく逆で、じりじりと身を乗り出してくるくらい作品世界に没入していた。

1、家族(朗読アイコ「記憶さがし」)
2、パズル
3、パン工場のにおい
4、おさない瞳
5、Life is beautiful
6、祈りの歌(朗読Kacco「ごめんなさい!」)
7、祝福の歌(朗読アイコ「道しるべ」)
8、旅立ちの歌
9、Happy birthday
喫茶マキaikoKaccophoto by YOKO

ライブペインティングの清水くんと、やっちん(女性)がまたすばらしい絵を描いた。炎のような赤をバックに無数の鳥が飛ぶビジョンだ。昨日の絵とはうってちがって、また新しい可能性を見せてくれた。
新潟はいい。すごい天才たちとあたたかい情がある。こわれ者の祭典のように、大人になってからも素敵な仲間たちに恵まれるなんて、ふつうはありえないことなのだ。
人々が地位や名誉をひけらかして自分を偉く見せるつながりはかんたんに切れてしまう。しかし弱さをさらけだしてつながった絆は最強のものになる。
弱さこそが強い絆になるのだ。