映画『鬼太郎誕生』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

お前が未来を語るな

 

 

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

 

これまた昨年の敗戦直後を舞台にする流行に乗るようにして水木先生の代表作で現代を語っています。かつて"墓場鬼太郎"で描かれたミイラ男から目玉オヤジが生まれるシーンの直前に起きた出来事を他の水木作品のエピソードも踏まえて物語にしてる訳だが、その世界観はまるで横溝正史ワールドで中盤までの展開はほとんど『犬神家の一族』です。ただ後半では実に上手く現代的な憤りとそれに抗う価値観を形にしていました。この話の主人公は水木しげる自身を模した復員兵。戦場で理不尽な扱いを受け九死に一生を得て帰って来てみれば家は焼け保証もされず貧困のどん底に突き落とされ、その一方で戦争を起こした資本家どもは責任も取らず利権を貪り続ける。だから手段を択ばず成り上がって搾取する側に回ろうと必死に権力に擦り寄る。ところが職場でのポジション取りの為に出向した財閥の本家で、まだ人間の姿をしていた頃の目玉オヤジに出会い不思議な闘いに巻き込まれた事で彼は価値観を改める。この戦中世代の悲哀が正に今の世代と重なっているのだ。

 

この映画の悪役は孫を地獄へ叩き落す事で長寿を得て過ちを繰り返そうとする老害。奴は口先では「祖国復興の為に」と大義名分を掲げながら私利私欲を貪り主人公を買収し資本家側に引き入れようとする。それに対し「あんたつまんねえな」と一蹴するシーンは痺れました。つまりは過ちの責任を取らずに利権を貪り続けようと子々孫々の未来を食い物にして諂い競争を続ける現代の老害世代のウジムシどもから未来を守る闘いなのです。ここでは悪役は戦前世代として描かれているが、そのマインド設定は経済成長期世代と同じで共同体や歴史から断絶され私利私欲しか価値基準がなかった個人主義と称する利己主義世代。先祖に包摂され仁義を通し子々孫々を守るのが本来の人間の在り方であるはずなのに戦後ジャップは豊かさに目が眩み強欲で卑怯で醜いクソ虫になってしまった。だから倫理道徳知性がない無能ジャップは分相応に冷戦利権が作った経済大国から転落した。そんな乞食パン助ジャップ老害の自由民主主義なんてクソ喰らえです。プーチン氏が演説したように土着の倫理道徳に包摂された存在として欧米イデオロギーに腐った親米レイシストのクズを駆逐せねばならない。そんな負け犬既得権老害に未来を奪われながら正しさを取り戻しつつある若い世代の魂の叫びのような内容に激しく共感しました。