映画『ファントムトリガー3』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

はぐれ狙撃兵

 

 

グリザイア:ファントムトリガー

THE ANIMATION スターゲイザー

 

有名なエロゲー原作から発展したアニメ映画版第三弾。基本的にTVアニメ版は嫌いです。なぜなら有名なトラウマ回として知られる人肉回など無駄に暗くハードボイルド気取ったエピソードが多過ぎるからです。いわゆる典型的な悲惨話を取って付けたように入れてるから他に方法がなかったとは思えない矛盾だらけの展開になる。つまりはシリアスな内容を描くだけの経験も想像力もない連中が無理やりにシリアスっぽくしてるだけのダサいエロアニメって感じだったのがTV版まで。ところが設定を拝借したこのファントムトリガー映画版シリーズの方はノリを軽くしてアクションコメディ風味に演出してるものだから嫌いになれない。まあ最近のジャパニメーション業界の日本人クリエイターの多くはシリアス作れるほど人生経験値高くないから、それならば分相応にコメディ風味にしてしまうのが正解です。この三作目は全二作との間に少し期間が空いてるので冒頭に90秒のあらすじが付いています。それで前作では姉妹対決の結果、敵組織にいた妹を引き抜いて味方にしてしまうという方向であった事を思い出し今作も全く同じテーゼを辿ります。ジャンプとかの少年誌の王道たる強敵を倒しては味方にするってなパターンです。

 

それにしても全二作もそうだがTV版と違ってマスターが実力隠し系の優男って所がやはり好感が持てます。とにかくギャルゲーは気色の悪いゲロ親父妄想垂れ流しって感じで無口でマッチョな無神経主人公が一方的にモテる完全ポルノ状態な訳だが、この映画シリーズは女の子たちに気を使いまくるけど一部ベタ惚れ勢以外は割とズカズカとディスって来る感じが良い。『うる星やつら』みたいなハーレム系の原点はこの手のヒロインたちに主人公が軽蔑される所も含めて魅力なのだ。ツンデレのデレだけでは女性陣が魅力的に感じないのと同じで、ただただラッキースケベ展開だけを繰り返すTV版のヒロインたちには何の魅力も感じなかったが、この映画版のヒロインたちは割と型破りで自分勝手だからこそ魅力的に感じます。それに対してマスターの方も優しく包容力があるので見ていて楽しいコミュニケーションが成立してる。ちょっとばかり今回の話の中心たるハグレ狙撃兵は予定調和感があったがそれなりに温かさは伝わった。やはり私は現代日本主要メディアに蔓延するポルノ化したコミュニケーションよりも他者性を感じられるコンテンツの方が好き。