映画『関心領域』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

実験用マウスケージ観察
 

 

関心領域


ポーランドのホロコースト映画といえばホランドからワイダまで数限りない訳で悪名高きガス室で知られるアウシュヴィッツがあった地域柄、どうしても負の歴史に何度も触れて、それをユダヤ資本の鬼畜米がパレスチナ虐殺ビジネス自己正当化の為に高評価するという悪しき営みは今でも続いています。タイトルからも察しが付く通り今作は実際にホロコーストを行っている側の中にある割り切りを描いています。それも箱庭の中で実験用マウスを観察するような底意地の悪い視点。絶滅収容所のひとつを担う所長とその家族が収容所から壁一つ隔てて悠々とした田舎暮らしを満喫する様子が主に描かれます。ハンナアーレントが"凡庸なる悪"と主張した通り極めて真面目な官僚としてコスパの良い合理的処刑方法を考案し上層部と調整する。やがて彼には祖国の都市部に栄転の話が来るが昔から田舎暮らしに憧れていた妻に反対され出世話を蹴るという家族ドラマが一応は描かれているが、そこに向けられる眼差しは冷ややかです。この妻は「こここそを故郷にしたい」と夫に懇願する訳だが家政婦や娼婦として使われる地元民(ポーランド人)からすれば、それはどう見えるだろうか?ここに彼女が生きていられるのはナチが侵略したからであって撤退してしまえば速攻で地元民の私刑で嬲り殺されるだろう。それが故郷とは片腹痛い。

 

つまり現在の似非白人レイシストたる親米ジャップ同様に認知バイアスが極端に捻じ曲がっているのだ。ポーランド人の使用人が隠れてユダヤ人に食料を届けているとも知らずに歓迎されてると思っている。そりゃ欧州中に反ユダヤ主義者が溢れかえるほどに一部ユダヤ資本家は欧州中の労働階級を踏みにじった。それだけにナチを歓迎する者も多かったのは確かだが所詮は余所者。戦後は東欧中の一般庶民がドイツ人を虐殺しました。それ位、今の鬼畜米と親米ジャップは世界中から憎まれていると自覚した方が良い。この手の認知バイアスの歪みも大切な論旨だが、むしろ今は「なぜ国家労働者党(ナチ)が必要とされたか」という点こそ描いた方が良い。ネオリベとグローバリズムにより庶民が国際資本家どもから収奪され放題の現状は国家による労働者保護が急務であるという当たり前の発想があれば最も必要とされる政策を実現できるのはナチス党と同じスタンスになるだろうから。この歴史は自由民主主義者の腐敗堕落によって何度でも繰り返し得るのです。