映画『恋と嘘』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

恋と嘘

 

 

デストピア=日本社会

 

先日、自民の大物がチャウチェスクにも似た暴言を吐いた。「子供を三人以上生まない女性は身勝手」かつてルーマニアでは少子化対策として中絶を禁止し出産を強制した結果、性病が蔓延し疫病と貧困により多くの女性が餓死に追い込まれた。テメーらヘタレ政治屋どもが既得権益にしがみついて鬼畜米に屈し続け国民を守れねえから搾取され子供作る余裕もない状況にプロレタリアが追い込まれてんだろうが。ふざけんな売国奴二階!国民が自己責任果たして実質利益を生んで国益を潤してもテメーら無能売国奴が強欲鬼畜米共に貢ぐから貧困が続くんだよ。テメーが餓死しろ!そんな昨今の少子化問題を反映したこのマンガの設定にはイシグロの『わたしを離さないで』にも似たエグさがある。少子化対策として結婚相手を政府が決めるというとんでもない人権無視。アニメ版を先に見ていた訳だが、内容的には別物にも思える。どうせ別物に作るのなら自由恋愛でもパートナーを得られるマトモなイケメンよりもクズを描いた方が問題の本質を鋭く抉れるのだろうけど、ターゲット層がF2あたりだから、あまりハードな社会派は好まれずメロドラマを狙わざるを得ないって所だろうか。

 

もし本当にこのAIによる政府通知なる制度が通ったら確実にDV被害者は増えるだろう。女性を同じ人間とも思わないクズが世の中には結構いるからね。そんなクズは自由恋愛ならある程度は女性側で回避できている訳だが社会的圧力で半強制的に結婚させられたらクズみたいな俺様男を避けるのが難しくなるだろうから。ここに登場する結婚相手は有名医師の息子で最初は俺様系のオーラを発してる訳だが、ちゃんと相手の幼馴染と対峙して次第に彼女の事を気遣うようになる。それどころか恋敵である幼馴染の事まで。ここまで人格できた奴等ばかりなら美談なんだろうけど、ここに描かれるような優良物件は多くはない。その意味で設定の特殊性がほとんど生かされない話に陥っていた。まだアニメ版の方が男側の結婚相手の話とか複数の判例や政府側の思惑やら社会的理不尽を思わせる所があるだけテーマの本質に近いと云える。この映画版の内容は単なる普通の三角関係のラブストーリーでしかない。