『君の名は』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2017-03-12の投稿

君の名は。

 

 

3.11喪失感

 

エロ動画サイトでスペインの海賊版を拝見。視聴目的であっても違法とくり返しワーニングを流す事で映画館は自らの利益を守るべく洗脳しているが我々制作側の人間から云わせれば盗人猛々しい。これが撮影所システムの時代であればスポンサーや配給の利益も制作現場に還元される訳だから納得できるが現代においては中間マージンを貪る盗人に暴利を貪らせ肥えさせるだけだ。そんな連中の利益は売春や麻薬を介し暴力団に流れるだけで法的に守る価値もない。もし我々制作側が酒造業者ならば今の配給は半分以上を飲み干して水増しした商品を客に出しているのだから。つまり制作現場で使われる高性能の機材に対応せずに再現度を極端に落とした低価格の機材で画質の低い映像を上映する事によって客を騙し暴利を貪る横領犯。経営が苦しいと言訳する前にリストラしてムダ飯食う社員を減らしてでも映画館の上映設備を海外と同等に完備せよ。クリエイターだって無能な奴はコネ作りでプライドを捨てない限り仕事にあぶれるのだから配給側も同様に無能な連中を解雇せよ。そんな当然の資本主義の原理すら守らずに終身雇用を守りながら作ってもいない連中が著作権を主張するな。この中間マージンを奪う盗人どもが機材投資を避け上映環境を整備しない事で品質を下げている現状は制作現場にとっても観客にとっても忌々しき問題だ。これ以上の賃金向上は求めないが内部留保を貯め込んでいる企業には可能であるにも拘らずなされていない製作費と上映時の画質の向上を切に願う。

 

ハリウッドの名作『哀愁』をリメイクした日本の有名ラジオドラマを思わせるタイトルだけに題名をブランドとして商標登録するような言葉狩りの盗人が増えると制作現場も更に息苦しくなるだろうと危惧する今日この頃。広告で見る限り大林の『転校生』みたいなネタかと思いきや今は亡きトニースコットの『デジャヴ』を思わせるタイムスリップもの。ネタとして何でもない日常の中で忘れ去ろうとしている想像を絶する大災害の傷跡に触れてしまうような出逢いがあったりする3.11以後の日本人のメンタリズムが象徴的に投影されたかのような内容。新海氏は自分の作品が偶然今の時代に受け入れられているみたいな事を語っていたが露骨なまでに我々の世代のメンタリズムが出ているからこそ売れるようだ。それにしてもJポップに依存する傾向がある新海作品の歌声の趣向を見ているとバンプオブチキンあたりの歌も好きそう。アニメやゲーム等のCG多用の現場では同じ歌謡曲を主体としたプレイバック手法でもミュージックビデオ業界と微妙に価値観が違う。あえて映像を曲調とズラしたり裏のリズムへ入ったりせずに歌詞の内容や曲調にピッタリ合わさる事をダサいとしないのがアニメ業界に多い手法。新海氏のアニメもその例に漏れず今回も音楽に映像がピタリと合わさる感じで作られていて気持ち良い反面、洗脳効果のある商業広告のような気持ち良過ぎる事への懐疑心で違和感を感じてしまう。これがMV業界で云われるダサいという感覚。多数派になりつつあるCG業界のやり方だけに従うとこの手のダサさは放置される。それでも時代性を捉えたメンタリズムで綴られる映像と物語は我々を魅了する訳だが。まあケジメとして取って付けたような棒立ち演技での最後の件は蛇足ではあったが絶望的なこの時代に癒しとなれる優しさを持ったこの作品にはやはり期待通りに号泣させられた。