映画『不良婦警』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

こりゃ日本映画並に酷い
 

 

不良婦警


かつてEUフィルムデーズで日本の声優学校の実習として北欧の児童映画『ムルと子犬』をリアルタイム吹替で上映するってなサプライズ企画があった訳だが、どうもネット上でもそれに似た事を中国の若き声優たちがやってるようだ。だから日本語の芝居が片言レベルに酷いのは仕方ない。ただそれ以上に映画のクオリティが学生映画でもなかなか見かけないレベルに酷くて驚きました。この物語は、とある腕利きの府警が未成年強姦事件の目撃者を犯人である日本のヤクザから守るってな話。舞台はほぼ全編に渡って学園内だけで展開します。ほとんど学園コメディのノリで所々で脚本家をディスる内輪ネタをブチ込んで来ます。これって昨今日本の商業映画市場にやたらと量産されているマンガ原作学園コメディ系を思わせるショボさ。そこに一応はカンフーアクションもどきが挿入されてるが体技のショボさを誤魔化し切れない日本のアイドル映画を思わせます。まあ商業市場の末端で、この手のゴミ映画が量産されるのもサブカルが健全に機能してる証拠として好意的に捉えておきましょう。

 

ただ中国まで日本市場並に劣化してゆく懸念は最近少し感じています。かつて20世紀の中国では国民党時代から共産党政権下の第五世代に至るまで数多くの社会派や文芸の傑作が撮られた。ところが今世紀に入り爆発的な経済成長を背景に中国映画界は次第にハリウッド化しネオリベ的価値観の薄っぺらい大ヒット作を出す事も多くなりました。これは西側に起きている文化的劣化現象に似ています。それこそ米国から経済覇権を奪う頃には中国も米国並に腐敗堕落した悲惨な国家になるのではないだろうか。それを避ける為にも最近では国家が共同富裕政策でネオリベ企業にブレーキをかけていたが規制は再び緩められつつあります。ただ我々の認識に比べれば相当にマシ。よく中国政府は金をドブに捨てるような愚策をやると見下す論説が西側では目立つが、そんな認識しか持てない西側経済認識はもはや資本主義ではない。そもそも投資とは本来短期的収益を度外視した贈与のような営みです。それが今の西側じゃ株式市場が投機にしか動かない賭場と化してる。これじゃ見えざる手も働きません。そんな資本主義が終わった西側から見ると真っ当な資本社会の営みが理解できないのです。ダメ映画を頑張って撮る若者を見守る事ができる余裕を持たないような自己責任論西側社会は今や資本社会の敵です。