映画『包帯クラブ』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

包帯クラブ

 

 

元方言クラブ

 

米国の現代アーチストにクリストってのがいる。大量の傘を一度に開いたり巨大な包装紙だか布だかで海岸を覆い尽くしたりビルを包み込んだりってなパフォーマンスで世界的に知られた。一応美術史に名を残してはいるが別に創作ではないので個人的には大して作家としての価値を感じないのだが、有名になってるって事はそれだけ彼の行為に心を動かされた人がいるってのも事実。包むという行為でも何かしら人の心を動かし得る。だが、それは癒しに成り得るだろうか?

 

私の経験上から云うならば他人の痛みを癒せる奴は、それだけ深く傷つける事もできる奴。相手を自殺に追い込むほどの事を云わなければ人の心など動きはしない。治療には痛みが伴う。心を治療するには言葉の毒が必要。猛毒でなければ薬として効く事もない。効き目が強い薬はリスクも高い。逆に包帯を巻くのは傷に触れずに時の癒しを待つって行為。だから傷を守る包帯って奴は毒にも薬にもならない反面、押し付けがましくならなくて受け入れ易い。

 

堤さんも最近はやたら多作だけど、今回は柄にもなく青臭いネタを取り上げてたから、もしかして作風が変わるのかと思って見に行ってみたけど、相変わらずのノリでした。今風の映像と妙に冷めたキャラによる妙な笑い。このテイストにはなかなか飽きが来ない。それどころか意外にこのテイストはこの今風の青春映画にマッチしていた。元方言クラブっていうマイナー嗜好が妙にハマっていました。