映画『ワンダフルな物語』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ヘンリー・シュガーの

ワンダフルな物語

 

 

ジャップ評論家はめくら

ウェスアンダーソンといえば『ライフアクアティック』と『ダージリン急行』の2本を見た訳だが両方とも面白くなくて他はスルーしてた訳だが、それなりに批評家ウケは良いらしい。アングロサクソン的価値観から見る東洋的美徳って奴はエセ白人ジャップどもには心地良いのだろうが私は日本人なので反吐が出ます。アングロサクソンからも見捨てられた今のジャップは欧米人が日本に興味を持つ僅かな一例を取り上げて「日本スゲー」とイキりたいので中編『犬ヶ島』が異様に話題になった事で日本国内では再度注目されてる監督の最近の中編を拝見。少々実験的な手法。紙芝居のような舞台で役者がカメラに向かって喋り続けるスタイル。ここで語られる男の人生を平たく云えばギャンブルで勝ちたい没落ブルジョワがインドの文献から透視能力を学び鍛錬するうちに価値観が変わってギャンブルで得た金を慈善事業に使い始めるという美談。今回も東洋的価値観を肯定的に描いている訳です。まあ昔から皮肉屋ビルマーレーの空気感がピッタリ来る作風なので半ばこの主人公をバカにしたような視点で描いてる訳だが。

 

この主人公はギャンブル大好きクズ男な訳だが、その行き当たりばったりな浅慮が微妙に笑えて心境の変化に「そりゃそうだろ」と吐き捨てられる訳です。コスパで考えてもスキル取得に三年三ヶ月ってのは泡銭を稼ぐという目的には長過ぎます。ただ真剣に集中する期間の長さって奴が人間の価値観を真っ当にするって事もあります。この男は金が欲しくて透視修行に夢中になるうちにギャンブルや金に価値を感じなくなって逆に自分の人生の短さを意識するようになる。そうなると遊びで勝つとか優越感とかよりも何かを成し遂げたいという美学に目覚めるという訳です。さながら黒澤明『生きる』の志村喬のように無駄に生きる時間の浪費に区切れを付けたくなるのです。これは今思うと"葉隠"のようでもあり戦前の真っ当だった頃の日本人の価値観を思わせます。ここに描かれる透視能力って奴はカードの数字を読むって意味ではフィクション臭い訳だが、それでも意外に目を使わない生活は訓練次第で意外とできそうです。そもそも大多数の人間は意外と目を使わず記憶と先入観と他の五感で生きている。デザイナー業界にすら記号的にしか絵を描けないめくらが多い。だから観察眼が無いめくらジャップは利害判断だけでウェスアンダーソンのような東洋に好意的な鬼畜米を高評価するのでしょう。