映画『マーベルズ』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

マーベルズ

 

 

猫ちゃんに喰われてしまいなさい

大胆にもコミック雑誌名自体を冠した『アベンジャーズ』完結末期に登場した反則級に強えー奴がファンサービスって所だろうか。まあ色々と複雑な設定もあってヒーローかヴィランかも微妙な位置な訳だが、そもそも結果的に名前だけ見るとマーベルコミックを仕切る奴って位に聞こえてしまう。キャプテンはキャップ(帽子)の語源でもありキャピタリズム(資本主義)の語源でもある。コーラ等の清涼飲料水の蓋もキャップと呼ばれる。つまり最上位って意味なのだ。キャピタリズムがエスタブリッシュだけが得をし続ける構造なので、それに対抗してナチズム(国家労働主義)が必要だったからこそヒトラーは支持された。グローバリズムに歯止めをかけ国家がネオリベから労働者を守るという目的でユダヤ人資本家の民族浄化が行われたのが前世紀の話。話はズレてしまったが『キャプテンアメリカ』シリーズにしても本シリーズにしても根底にナチス(労働主義)と戦う資本主義崇拝があるのです。その成れの果てとでも云うべきか。ストーリーとしてはキャプテンマーベルに憧れるティーンの少女が本物のマーベルと一緒に3人チームを組んで異次元から来た侵略者と戦うってな内容。

 

最近はマーベルコンテンツ自体も下火になってる訳だが品質自体もマンネリ化の上に大きく低下しています。それこそ単純なアクションのカット割りにしても引き絵を見せるタイミングが明確に間違っているような単純なモンタージュの情報整理ができてないシーンも少なくない。これは楽しく分かり易くが正義の商業至上主義の観点からしても単なる現場の無能化です。ナチズムと違いキャピタリズムは供給側と消費者の両方を搾取して既得権側だけが肥えるって構造だから現在の米国のように暴走した資本主義の下で商品価値が劣化するのは当然の現象。資本主義肯定の代表的コンテンツも遂に腐敗に耐え切れなくなりつつあります。とにかく馬鹿騒ぎがダサいだけで魅力がない。ウォルターラングの『王様と私』へのオマージュと思しきシーンにしても根底とする文脈が途切れていては虚しいだけ。まあ足りない脱出ポッドに乗員を詰め込む為に猫に喰わせちゃうって発想だけは笑えた訳だが、つまりは瞬発的なネタでしか楽しめない程度にまで文化的価値って奴が失われているのが今のハリウッド娯楽第一線です。マルチバースの発想で次は『X-メン』シリーズに繋げようとしてるみたいだけど世代交代して以降にはもはや魅力を感じません。