映画『罪の後』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

罪の後

 

 

大衆は真実なんてどうでもいい

台湾版『逃亡者』って感じで最愛の恋人を殺したと冤罪で捕まった若者が脱獄して真犯人を探すという物語。大きく違うのは今作の主人公は彼を追うジャーナリストであり冤罪事件の真相はメディア戦に巻き込まれ関係者が大衆からのリンチ対象になってゆくって所だろうか。この手のメディア論はオリバーストーンの『ナチュラルボーンキラーズ』であったりコスタガヴラスの『マッドシティ』であったりヴィムヴェンダースの『エンドオブヴァイオレンス』であったりマスメディアの時代にも問題提起され続けたがパーソナルメディアの時代になって以降は更に酷い暴力と化しています。ここ最近でもレバノン映画『判決、ふたつの希望』でも排外勢力と移民保護勢力との衝突に発展する現象が描かれてました。これは単にTVやネットというメディアの問題だろうか?いや情報技術以前に民主的発言と資本社会を同時に運営すれば必然的に言論空間はクズの戯言に腐ってしまうのです。マスが求める情報は常に分かり易く面白く自分に都合の良いポルノだから商業的に成功したいメディア側はポルノで煽ってリンチを誘発させるのです。そんな分かり易い所には事実もなければ正義もない。

 

ちゃんと正確に物事を把握すれば複雑な事情があり分り難く無意識に自分も悪徳に加担してる事実に気付かされるからジャップのように卑劣で臆病で民度の低い自由民主主義者は誰も本当の報道なんて欲しがらないのです。この主人公はシングルファザーで亡くなった妻が実は被害者少女の麻薬犯罪を追っていた。それが調査を続けるうちに見え始めて次第に関係者の多くが犯罪に腐っていた事が分かり始める。つまり何の罪もない被害者を求める大衆にとって見たくない面が見え始める。それに従って世論は沸騰し関係者へのメディアスクラムやリンチまがいのバッシングが起こり始める。マスは常に真実よりも処罰感情での憂さ晴らしを求めている。そんな連中に対して名誉を回復したいだろうか?かつて小沢一郎は検察とメディアに意図的に捏造冤罪の陸山会事件で失脚させられたが全くの無罪であった事は大多数が知らない。マスなんてその程度のクズ。ならば名誉回復よりも報復感情を優先するという脱獄犯の判断は間違っていません。どうせ誰もメディアの発信なんて正確に聞いてはいない。なら「部外者は黙ってろ」って態度は筋が通ってます。この主人公は少なくとも協力者ではあったが、メディアなんて無責任なクズ代表なのだからシカトしましょう。