映画『夢の扉』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

シルバー 夢の扉

 

 

ポリコレ野郎はWAKENじゃない

今は亡きウェスクレイヴンを真似たようなドイツのファンタスティックな青春ホラー映画。氷上の事故で父を失った姉妹がロンドンの親戚に預けられる訳だが、ロンドンの学校で知り合った男子集団が妙な儀式をしていて、その儀式で夢が叶うという話に乗っちゃう訳だが、その代償として悪夢が実現してお陀仏になると知って儀式を帳消しに使用と奮闘するってな物語。彼らは互いの夢を行き来する事ができるので物語の半分以上がファンタスティックな夢の中で展開します。ただ誰が彼女を騙して生贄にしようとしてるのかというサスペンスミステリー要素が強いので、むしろ映像的に見せるというよりは話のギミックで楽しませるって感じです。まあ巨大な人形の家とか夢の中のファンタスティックな世界をちゃんとCGで作り込めている訳だが、やはり『エルム街の悪夢』シリーズを再現したかのような既視感があるシーンは多い。それに加えて『パーフェクトワールド』とか『インセプション』とか『Dr.ストレンジ』シリーズとかで最近はよく見かける地面が折れ曲がったような背景CGもあります。

 

とりあえず皆の夢を繋ぐストリートの描写はあからさまにクレイヴン映画を模倣しています。クレイヴンといえば晩年の『スクリーム』シリーズが有名な訳だが、このシリーズのホラー映画オタクを襲う殺人鬼って構造を見れば分かる通り観客のリアルにフィクションの怪物が現れるかのような恐怖を常に狙っていました。ブードゥー教の儀式に使う薬品で死体が動くというゾンビの元となった事象を扱った『ゾンビ伝説』など虚構と現実の差異を曖昧にする工夫はさすが元精神学者って感じです。それをリスペクトしたと思える本作も主人公が気付かないうちに夢の中にいる等のトリッキーなシーンが結構あります。それだけに子供の頃に見たクレイヴン映画を思い出し懐かしい気分になりました。

 

ちなみに儀式の生贄に処女を捧げなければならないみたいな所で「性差別的でしょ」とポリコレ発言する辺りは、いかにも今の世代が撮ってるって感じで覚めました。ヨーロッパも米国のうすら寒い価値観に毒されて単純化と幼稚化の途上にあると思うと絶望的な気分になります。ロンドンが舞台だから身内の会話だけドイツ語で後は英語で撮られている訳だがアングロサクソン国家のような文化なき文明が価値ある文化を流行という凶器で片っ端から打ち壊している事実にこそ目を覚まして欲しい所。本当に意識高い系ならコンプラを疑いましょう。