映画『ムーンフォール』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ムーンフォール

 

 

トンデモ陰謀論

タイトルからして『さまよえる地球2』の劣化コピーである事は伺える訳だが、かつて商業第一線だったデザスター系SFパニックの第一人者エミリッヒの新作って事で一応はチェック。いわゆる自然災害物だと勘違いしていた訳だが、これが意外にも陰謀論系でバトル展開。個人的には嫌いじゃない。かつてエミリッヒは『スターゲイト』や『2012』で高度文明を有していた古代人という奇抜な設定で驚かせてくれた訳だが、この作品もその類。「皆既日食はなぜ丁度良く月に太陽が隠れるのか?」と問われれば確かにこの陰謀論も説得力を持ってしまいます。つまり月は古代人が作ったナノ兵器というトンデモ設定。自立型AIを有していて人類を敵認定し襲い掛かる。この辺の設定は初期『ターミネーター』を思わせるアナログ感があります。そんな訳で人類を襲う月のナノロボットを撃退すべく空中戦を繰り広げる。やたらとスケールがデカい話の割には渡りに船な展開でご都合主義感が否めない訳だが大規模なデザスター描写はさすがエミリッヒ組+中国CGプロダクションって感じ。

 

このエミリッヒというドイツ人監督は80年代デビュー後すぐに渡米してハリウッドを代表するヒットメイカーになった訳だが近年では一度米国を見限り欧州に帰って『もうひとりのシェイクスピア』で大金使わなくても現像劇がメチャ上手いって所を見せつけ、その後は米中合作が続いています。90年代にはアジア代表として日本を出す事もあったエミリッヒ映画だが今世紀に入ってからは世界を舞台にロシアや中国が活躍する作品が増えて最近では中国と組んで撮っている。その意味でも見所のある監督です。それこそ代表作『ID4』での自由独立の演説で大衆をアジりながらも腐った米国的イデオロギーなんかよりも世界市場で観客をエキサイトさせる事を何よりも重視するエンターテイナーの鑑です。その意味で娯楽映画の第一線を走るロシア中国インド発の世界的大ヒット作をこどごとく無視する近年の日本の配給は終わってます。そんでハリウッドのゴミばかり押し付ける植民地根性。日本文化を終わらせたくない我々クリエイターは市場を無視してネットで世界中の映画サイトを探らねば第一線の文化にすらアクセスできない状況にあります。ここ最近の日本は唯一世界に通用してた文化面すら鬼畜米に諂う乞食パン助どもに潰されつつあるので真っ当なクリエイターほど鬼畜米の手先が垂れ流すデマゴーグは無視して中国企業と手を組みます。