映画『ふたりのロッテ』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ふたりのロッテ

 

 

子供は蝶番

 

「幼くして親を失った子供たちは

 大人になっても多くの場合その傷から立ち直れない」

byトミーヴィーガント(ケストナー作品を中心に児童映画を手がける監督)

 

大人の事情という云い訳があるが大抵の場合それは子供の気持ちに比べたら大した事ではない。大人のエゴイズムや臆病さで幼少時代に傷を残せば、それは一生の痛手。親である以上は子供の為に勇気ある決断も献身的な愛情も必要。いくら子供がトラブルメイカーでも必ずしも親ばかりが正しいとは限らない。そんな親側へのメッセージもケストナー作品には含まれる。よくある児童ノベルとは違い、彼の作品には親の不在に心を痛める子供たちのリアルな気持ちがよく描き込まれています。そのテーマ自体を中心に扱った代表作がこの作品。

 

サマーズクールで出会った正反対な2人。ガサツないじめっ子と清楚ないじめられっ子。ところが顔がソックリ。生年月日も同じ。いじめっ子は父子家庭。いじめられっ子は母子家庭、2人は双子であると判明。両親の所在を知り、いじめっ子は母に会いたいと、いじめられっ子は父に会いたいと切望。てな訳で内緒で2人は入れ替わる。そして両親の仲を再び修復しようと試みる。ケストナー作品はいつも切実な設定があっても可愛くて楽しく展開。子供たちが両親の仲を意図的に修復するという目標を持って動いてる訳ではなく、ただただ感情のままに意味なく両親と関わっている感じが幸せそうで良い。

 

「子供って本来意味がない事をやるはずで、

 意味のある事をやらざるを得ない子供は不幸」

by塩田明彦(カルト二世問題を扱った傑作『カナリア』に関するインタビューにて)