映画『ジャスティスリーグ完全版』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

ジャスティス・リーグ:

ザック・スナイダーカット

 

単品伏線集

元々本作は『スーパーマンVSバットマン』に続く3部作として制作が始まった訳だが2本分を撮り終えたタイミングで監督のザックスナイダーが一身上の都合で降板して順狂わせが起こった。つまりは元々の戦略としては今作の前半部分を公開した後で単品ヒーロー映画を何本か挟んで後半部分を公開するつもりだったのだろう。だがノーラン×スナイダーのリアル路線では売れないというスポンサー側の判断あってかDC上層部にマーベル系の人材が雇い入れられて2本分の内容に追撮を加えて一本の詰まった標準版が公開された。これがDCコンテンツが明確にノーラン路線とは違う方向に進み始めたという意味では頂けない訳だが、このザックスナイダー版に比べると確かに劇場公開されたバージョンの方が内容が密でテンポが良くて面白い。それに比べると本作は派手な見せ場が少なくて、むしろ前半部分は特に個々のヒーローの個人的ドラマに焦点が当てられています。それこそ今作を見た後に『ワンダーウーマン』『アクアマン』『フラッシュ』と見ると納得度が増すような伏線を丹念に仕掛けていたのでファンからすれば本作の方を単品より先に見たかったのかもしれません。サイボーグの話に関しては単品が出るのが楽しみになりました。

 

ただ今作は必ずしも撮られた当初の目的意識でまとめられた訳ではなくマーベル的マルチバース展開に備えた改変も加えられています。やたらとフラッシュの時間を超える能力がフューチャーされていて後に歴史を遡ってパラレルワールドに繋がる展開が予想できるような作りになっています。そしてバットマンの夢として見せられる別次元での共闘など新たなる展開への伏線を打ちまくっていて4時間も尺があるにも関わらず、むしろ2時間の劇場公開版の方が一本の作品としてのまとまりは良かった。このスナイダー版って奴はコアなファンが喜ぶように色々と散りばめられているのだろう。その意味で私は特にアメコミファンという訳でなく商業第一線をチェックする意味で見ているので2時間バージョンで充分でした。ただこっちのバージョンではマンハンターが一応は登場したが未だにグリーンランタンは登場してません。いつになったら7人全員が揃うんだって感じです。そんな訳で個々のエピソードを掘り下げる以前に、まずは主要メンバーを全員揃えて欲しい所です。それと本作は敵にやたらと取って付けた感があって敵も分からず仲間集めをするバットマンの姿は『アイアンマン3』のパラノイア状態を思わせます。