映画『ポテチ』の感想 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

ポテチ

 

 

規模より内容で勝負

 

伊坂×仲村というトリッキーで笑って泣ける事に関しては充分に信用があるブランド。この作品は『フィッシュストーリー』も含む短編集の一遍を映像化したものだからか売れっ子はあまり使わないキャスティングで尺も短くバジッドも安そうで小作品感が強い。やはり脚本としては相変わらず上手いのだが特に金がかかるような派手な事は何一つしていない。エキストラが沢山必要になる球場のシーンですら画角作りの工夫で小規模に済ましている。これが大作映画とかだったから空撮で巨大な球場に集まった観衆に寄って行く絵位は作る物。製作費的には学生映画でも作れる規模。若くして脚本が上手かった李相日の『青~chong』にも負けている。ただ母校の学生作品と違いプロならではの商業的な上手さは詰まっていてグイグイ引き込まれ笑って泣かされる。

 

とある万年補欠の野球選手に強く惹かれ力になろうとする空き巣の話。出来損ないな彼がなぜこの野球選手に固執するのか次第に明らかになりながら物語は転がる。そこに見えて来る人情ドラマに笑って泣かされるって訳だ。この手の作品に出会うと改めて映画は規模じゃないと実感させられる。まあ現場としては、とことん詰められるって意味じゃ製作費は高いに越した事はない訳だがグリフィスが生んだハリウッド神話を信じちゃいけない。たった5000円で作られた秀作『ある朝スウプは』等を見ても分る通り、どんなに安い製作費で作られても良いものは良いのだ。