『黙して契れ』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2016-08-28の投稿

黙して契れ

 

 

スラム人情

 

有名な映画に例えるならば『GOOL』+『シティオブゴッド』って所。中米ならではのスラムにおける犯罪とサッカー。この手の中南米産映画は日本でも比較的ちゃんと商品化されている訳だが、その手の作品の中では気に入った。やはり血も涙もないマフィアの暴力よりも人情味あふれるマフィアのキャラが魅力的。実力がある連中は組織を抜けてでも成功して欲しいと願う親心を持っているのだ。そもそもマフィアって物自体が本来なら貧乏人同士が家族として徒党を組んで互いを守り合う自治体のような形で始まった組織だから家族の幸せを願うのが本来のマフィアのスタンスであるべきなのだ。この作品では互いを守る為にした行為が事故を引き起こし怨恨トラブルへと発展する。誰も本気で悪意を持っていた訳ではない。互いの幸せの為に事件の真相を偽り、それが疑心暗鬼の状態を生む。そんな中で主人公の兄弟の絆だけは何とか繋ぎ止めようと弟は黙して兄を待つ。2人かゼロか。プロチームに入ってスラムを抜け出す為に、兄を犯罪に走らせない為に、黙して契約。貧困からの保身が裏切りを生むスラムにおいて仲間と組織の人情によって支えられた兄弟の絆。非人道的な暴力や裏切りが描かれる事が多い中南米のマフィア映画の中にも、このような温かい作品があってくれた事が嬉しい。