整形タレント
ヘルタースケルター
『リバーズエッジ』と並ぶ岡キョン代表作の映画化。前者は少年少女のピュアな嘆きをもって闇を描き出したが、こっちはただ汚物をぶちまけるって感じの作品だっただけに同じ有名レディースコミックで知られる庵野の妻が描いた『さくらん』をテクノ風の色彩でサイケデリックに毒々しく映画化した事で知られる写真家ニナミカがメガホンを握る。ショービズ業界で違法整形によって作られた美人タレントの堕落した性生活と、その整形サロンの悪事を暴こうとする刑事の捜査をサスペンスタッチで描く。こればかりはマンガの方もそうだけど映画版も感情移入はできませんでした。エログロ描写に関しては岡キョンはあの絵だから飄々と流れてた所があったが、この映画は内容の毒々しさが絵にも反映されています。「もう濡れてないから気持ち良くないや」と女性マネージャーが縛られてバイブ入れられて放置されてる所とか映画版では割愛されてたけど、そこら辺も含めて下手に描いていればポルノになっちゃう題材を辛うじてサスペンスに落着けたって感じ。まあ「別に」発言で干されてた主演女優にピッタリの役柄ではあった訳だが、この主人公のエキセントリックさは冷めてない分だけマンガに比べるとパワーダウン。やはり何処かで達観して冷めてる分だけ登場人物たちが自分の孤独を引き受けた上でエキセントリックに生きているのが岡キョン作品の魅力な訳だし。その意味じゃ底の浅い作品になっていました。