映画『超人X』の感想 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

超人X

 

 

副業ゲイヒーロー、本職アパレル

ベトナム版『ハンコック』って所だろうか。むしろ始まり方は『サイゴンクチュール』を思わせます。ヒロインは鼻持ちならない金持ち令嬢で、それがアパレルショップで我儘放題に振舞ってる所で始まります。このヒロインは誘拐され超人ヒーローに助けられて以来、彼に夢中な訳だが、そのヒーローの方は金持ち娘が大嫌いで、それどころか真性のゲイだから女性自体を気持ち悪がっています。ヘテロの男性ミュージシャンに恋をしてオフは彼のライブに入り浸る。そんでもって仕事ではアパレルデザイナーの卵として経験を積む。あくまでもヒーローは副業。偶然人体実験に巻き込まれて超人化してしまっただけ。ところが人体実験を行った博士は実験を続けてヒーローに敵対する犯罪者たちを次々に超人化してしまう。かくして頂上決戦路線に話は進みヒーローの母親も巻き込んで珍騒動が拡大。

 

金持ち娘より悪役ヒロインの方がセクシーで魅力的な訳だが、このヒーローはゲイだからなのか男女平等に彼女も平気でグーで殴ります。とにかく超人パワーでトンデモなアクションが展開する訳だが一切血が出ない演出は映画のターゲット層を低めに設定してるのだろうか。それどころか殺陣自体にも矛盾する動きが多くてお世辞にも上手いとは云えません。むしろアクションはオマケ要素でゲイのヒーローを中心にした軽いラブコメって感じです。ピーターバーグは『底抜け』シリーズをベースに数多くのアクションコメディを撮ってる訳だが、それに比べると今作は様々な意味で垢抜けない印象です。それこそ悪い意味で今風のノリだけでトンデモ映画路線を狙ってる感じ。もう貧しい日本には出稼ぎも来たがらない程に発展しつつあるベトナムのヤッピー層が悪ノリしましたって所だろうか。イケてる職業のイケてる若者感をやたらと感じます。それこそ日本じゃ陽キャのパリピ系って呼ばれるような連中の共感を狙ったみたいな内容です。