2021-12-20の投稿
風に濡れた女
女断ち失敗
久しぶりに見た立教ヌーベルバーグ塩田明彦作品は懐かしのロマンポルノ風味。女好きな人気役者が女断ちすべく地方で隠居生活。海を眺めていると突然、自転車に乗った女が海に突っ込む。この女は彼の目も気にせず海から上がるといきなりトップレスになりシャツを絞る。そんな印象的な一幕でこの映画は始まる。この女はやたらと彼に付きまとい関係を求めて来る訳だが彼にその気はないようだ。やがて彼の知人の所に泊まり込み男を片っ端から喰いまくるものだから情念沙汰が絶えなくなる。そんな折に役者の所にかつての仕事仲間が訪れる。こいつもかなりの好色女で彼と関係を持とうとする。そこへトップレス女も乱入して3Pが展開したり劇団の若い女性脚本家に手を出しちゃったりの乱痴気騒ぎ。
もっと塩田映画だけに同じロマンポルノでも藤田敏八ばりのシリアスな人間ドラマを期待したが、どちらかと云えば鈴木則文とかのポルノ時代劇を連想させるおふざけ路線。確かに若い劇団員がロケバスの前に並んで順番を待ってる所とかキモいポエムを披露する電気屋とか笑えるポイントは満載な訳だが塩田ブランドに期待する所とはあまりにかけ離れていました。やはり私の中ではフェチズムを感じさせる『ギプス』やマゾ男の願望を描いた『月光の囁き』のアブノーマルな印象が強かっただけに、もっと変態度が高い作品を撮って欲しかった。このトップレスのヒロインも云わばサディストな側面があって変態的なプレーはしているが、その見せ方がオチャラケ過ぎています。まあ『どろろ』とかでいきなりCG使いまくりな超人アクションを撮ったりもしてるだけにジャンルに拘らない監督である事は何となく感じていたが、ここまで芝居ネタでふざけられると多少は幻滅してしまいました。
