『秘龍拳少林門』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2021-02-22の投稿

秘龍拳/少林門

 

 

殺陣が丁寧

 

未見だったジョンウーの初期作品を今更ながらにwebで拾って拝見。清朝の時代を舞台に少林寺門下のお家騒動が描かれる。いわゆる『少林寺』に描かれた洪熙官とかの時代より後の話。典型的な当時のカンフーアクションって感じなのだがローウェイやユエンウービンみたいな大御所世代の作品と比べると繋がらない雑なカット割りとかがなくて丁寧過ぎるほどに流派毎の型が分かり易く描写できています。これは当時新人だったジョンウーの力というよりも殺陣師を買って出たサモハンの力量だろう。この作品の見せ方は後にゴールデントリオとして活躍するサモハン監督作品と共通する所の方が多い。ジャッキーが槍使いでサモハンが悪役の右腕でユンピョウが弟弟子たちのひとりというキャスティングで、それぞれの殺陣の見せ方の特徴が既に出ています。ジャッキーが後ろから蹴られるシーンなんてファンでなくても思い切り既視感があるのではないだろうか。それに対しジョンウーらしい上手さといえば剣の反射に映り込む回想の見せ方とか竹を使った骨折の表現とか。シンプルで分かり易い作風だからこそハリウッドでも成功したのでしょう。

 

これらの後のヒット作と共通する光る所がありながらも面白いかと問われれば微妙。当時のカンフー映画ってキンフーの武侠映画のパロディみたいな安っぽさを感じさせる即席感にゲンナリさせられる事が多い。この作品には一応宮廷らしき背景を使ったシーンもあるが規模が小さい。とにかく野原の真ん中で蹴り合うようなシーンばかりだと飽きます。これって日本の子供向け戦隊モノがバトルになると必ず岩山に移動するお約束に似ています。そこじゃなきゃ爆破の許可が下りないみたいな作る側の都合の押し付け。そりゃあ王朝時代を舞台にしても野原なら高層ビルが映り込んだりしないからセットを組むより安上がりなのだろう。